知的財産ニュース 韓国、チャットボットの特許出願の年平均増加率が16.1%と世界2位

2022年11月28日
出所: 韓国特許庁

10年間2倍「ぐんと」…人工知能チャットボットの特許競争が「激しい」

最近、新型コロナウイルス感染症の影響で非対面業務に対する需要が高まり、人工知能(AI)技術が発展するに伴ってチャットボット(Chatbot)(※)市場が急速に拡大(※※)していることから、関連技術を先取りするための特許競争も激しくなっている。
※チャットボット(chatbot):「喋る(chatter)」と「ロボット(robot)」の造語で、人が音声やメッセージで質問すると、AIが日常言語で会話するように答えてくれるプログラム
※※世界のチャットボット市場の規模は2020年29億ドルから年平均23.5%ずつ成長し、2026年に105億ドルの見込み(マーケットアンドマーケット、2021年)

特許庁長によると、知的財産権5大強国(IP5:日米欧中韓)に出願されたチャットボット関連特許は、2011年を基点に増加傾向(年平均8.1%成長)にある。最近10年間の出願(2011年~2020年、10,766件)は、前の10年間の出願(2001年~2010年、5,132件)の約2倍であり、特に最近5年間の出願(2016年~2020年、7,024件)は、以前の5年間の出願(2011年~2015年、3,742件)の約2倍に増え、チャットボット関連出願が加速していることがわかった。これは、アップル(Apple)が2011年に発売したシリ(Siri)が市場で熱い反応を得て情報技術大企業間でチャットボット技術開発競争が相次ぎ、特に、2017年からディープラーニング技術が適用された人工知能型チャットボットサービスが本格的に活用されはじめた結果と見られる。

過去10年間(2011~2020年)の出願人の国籍を見ると、米国が43.3%(4,667件)と1位となっており、中国(19.9%、2,138件)と日本(17.4%、1,874件)が後に続いた。韓国は13.4%(1,445件)と4位を取っており、欧州は3.6%(383件)であった。年平均増加率は、韓国が16.1%と5か国平均の8.1%より2倍高く、49.3%の増加率を示した中国に次いで2位となった。これは、中国に次いで国内のチャットボット市場が急速に成長していることを意味する。

多出願企業の順位は、グーグルが712件(6.6%)と1位に輝き、IBMが583件(5.4%)、サムスンが544件(5.1%)、マイクロソフトが444件(4.1%)、アップルが384件(3.6%)の順となっていて、いわゆる情報技術大企業が頭角を現した。韓国国籍出願人の順位は、サムスン(544件)、現代自動車(78件)、韓国電子通信研究院(ETRI、64件)、LG(59件)、NAVER(44件)の順となっている。

特許庁の人工知能ビッグデータ審査課長は、「チャットボット市場は今後、高性能の人工知能に基づく『自然語処理技術』と『感性認知技術』の確保が市場をリードする最重要課題になると見られる」とし、「韓国企業の技術開発を支援するために、関連特許情報を持続的に提供していきたい」と述べた。

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