知的財産ニュース 人工知能アクセラレーター関連特許出願、この10年で年平均15%ずつ増加

2022年9月19日
出所: 韓国特許庁

超知能化時代に向けて加速している「人工知能アクセラレーター」
米中争いの中でも韓国国内での活発な研究開発で未来展望は明るい

2020年、アップルは、自社コンピューター用のチップ(※)であるM1を発表した。2021年には、テスラが自動運転学習用スーパーコンピューターのためのチップであるD1を発表し、グーグルはテンソルというチップを発表した。このように、情報技術大手(ビッグテック)の専用チップの発表が相次いでいる。専用チップの開発が大流行している主な理由は、自分のソフトウェアの人工知能機能をより速く実行させるためである。つまり、人工知能アクセラレーターが企業のコア競争力となっている。
※半導体で実現された電子回路の集合で、電子デバイスで演算および論理処理を担当する部品
韓国特許庁によると、知的財産権5大国(IP5:日本・米国・欧州・韓国・中国)に申請された人工知能(AI)アクセラレーター関連特許出願は、この10年で(2011~2020)年平均15%ずつ増加した。特に、アルファ碁とイ・セドルの対局によって開発の大流行が起こりはじめ、最近5年間(2016~2020)年平均26.7%ずつ急増するなど、技術の発展が加速化していることがわかった。

人工知能アクセラレーター

人工知能を実現し、実行するための専用のハードウェアに適用された技術をいう。人工知能が本格的に登場した2010年代初めには、中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)、メモリーなどの汎用コンピューターの部品を利用して実現したが、人工知能だけのための独自のハードウェアである人工知能アクセラレーターが続々と開発され、現在はマシンラーニング、ディープラーニングなどのソフトウェア領域と共にハードウェア領域として人工知能産業の一端を担っている。

出願人の国籍別に見ると、米国が45%(2,255件)と最も高く、中国が23.1%(1,156件)、韓国が13.5%(677件)、日本が10.1%(504件)、欧州が5.3%(267件)を占めている。最近5年間(2016~2020)主要国の出願件数は、直前同期(2011~2015)に比べて平均3.4倍(1,129件→3,879件)増加した反面、韓国は7.5倍(80件→597件)増え、出願人数も主要国が平均2.8倍(243人→685人)増加する間、韓国は3.8倍(23人→88人)増えた。これは、人工知能アクセラレーターに対する韓国国内での研究開発が活発だという事実を示しており、今後、出願のシェアが高まることが期待される。

多出願順位を見ると、インテルが438件(8.7%)と1位になっており、次いでサムスン電子が272件(5.4%)、カンブリコン262件(5.2%)、IBM158件(3.2%)、グーグル151件(3.2%)の順である。韓国企業の中での多出願順位は、サムスン電子、韓国電子通信研究院(58件)、SK(45件)、ストラドビジョン(30件)、ソウル大学(27件)の順であり、韓国科学技術院とPOSTECHなどが後に続くなど、情報技術(IT)分野での企業と大学・研究所の活躍が目立った。

特許庁の人工知能ビッグデータ審査課長は「超知能化時代に入り、人工知能を素早く学習し、推論できるようにしてくれる『人工知能アクセラレーター』の重要性が高まっており、今後の技術の主導権を確保するための競争も激しくなるだろう」とし、「韓国が人工知能分野で影響力を高めるためには、基盤技術である人工知能アクセラレーターのイノベーティブなコア特許を確保する必要性がある」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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