知的財産ニュース 世界で7番目の月周回衛星「タヌリ」を打ち上げ、宇宙技術特許は世界7位

2022年8月16日
出所: 韓国特許庁

宇宙経済時代、民間がリードする特許競争力の強化が急がれる!

韓国特許庁は、韓国初の月周回衛星「タヌリ」を打ち上げたことをきっかけに、主要国の宇宙産業における特許競争力について詳しく分析した。

最近、世界的に特許出願が急増(※)しており、宇宙技術分野においても過去とは異なって、特許争奪戦は激しくなっている。
※従前(1990~2010年)の世界出願は、年平均2%増加したが、最近10年間(2011~2020年)、年平均13%と急増

世界的に特許出願が急増しており、宇宙技術分野においても過去とは異なって、特許争奪戦は激しくなっている。

韓国、宇宙技術の特許出願件数は世界7位

米国、中国、フランスなど宇宙強国は、積極的に特許を確保し、実際の特許出願件数においても1位から3位を占めている。

韓国の宇宙技術の特許出願順位は、合計840件と4%を占め、7位を記録している。(1990~2020年)
※1位米国、2位中国、3位フランス、4位日本、5位ロシア、6位ドイツ、7位韓国

これで韓国は、世界7位の宇宙技術の特許出願国であり、月周回衛星を打ち上げた7番目の国となった。

衛星を打ち上げたことをきっかけに韓国からの特許は増加しているが、主要国に比べるとまだ不十分であり、民間企業の参加も非常に少ないのが現状

ナロ号(2009年、2013年)、ヌリ号(2021年、2022年)など持続的に衛星を打ち上げることで技術を積み上げるとともに特許出願数も増加しているが、特許出願件数が年間70件以下であり、主要国(※)に比べるとまだ不十分である。
※(1990~2020年)1位は米国6,226件、2位は中国4,330件、3位はフランス3,409件、4位は日本2,669件、5位はロシア2,084件

1993年にウリビョル2号(実質的な韓国初の衛生)、1998年に最初の2段式固体ロケットKSR-2、2002年および2003年に最初の液体燃料ロケットKSR-3と科学技術衛星1号、2009年および2010年にナロ号第1・2次打ち上げと科学技術衛星2号、2013年にナロ号第3次打ち上げ(ナロ科学衛星)と多目的実用衛星5号と科学技術衛星3号、2018年に次世代中型衛星1号と静止軌道複合衛星B、2021年にヌリ号第1次打ち上げ、2022年に韓国初の宇宙発射体のヌリ号第2次打ち上げ(世界7番目の1トン以上の実用衛星)。

それも、航空宇宙研究院の特許がほとんどであり、民間企業の特許は非常に少ないのが現状(※)である。米国、フランスなどの宇宙技術を先導する国は、ボーイングやエアバスなどの民間企業が技術開発および特許出願をリード(※※)している点で、今後韓国の民間企業には積極的に特許を取得することが急がれている。
※(1990~2020年の宇宙技術の世界特許出願動向)航空宇宙研究院476件vs民間企業89件
※※(1990~2020年の民間企業における宇宙技術の世界特許出願順位)1位はフランスのエアバス(1,332件)、2位は米国のボーイング(759件)、3位は日本の三菱(688件)、4位はフランスのタレス(539件)、5位は韓国の航空宇宙研究院(476件)

一方、宇宙崛起を推進している中国はここ10年間年平均34%と急増(※)しているなど、技術開発の成果をコア特許として確保することを目指して努力しており、今後宇宙産業における技術覇権争いはますます激化することと予想される。
※中国における宇宙技術特許の年間出願件数:(2011年)67件→(2020年)925件

韓国における衛星体の特許は比較的良いが、発射体の特許は不十分

宇宙技術は大きく衛星体と発射体技術と分かれる。

衛星体技術は、特許出願シェア率5%で(1990~2020年)、世界5位として比較的良い。
※衛星体技術:1位米国(31%)、2位中国(21%)、3位フランス(19%)、4位日本(15%)、5位韓国(5%)、6位ロシア(4%)、7位ドイツ(4%)

発射体特許のシェア率は2%に過ぎず、米国、中国、フランスなどとの差が大きいため、主要国における特許出願増加に備える必要がある。
※発射体技術:1位米国(35%)、2位中国(17%)、3位フランス(17%)、4位ロシア(13%)、5位日本(9%)、6位ドイツ(5%)、7位韓国(2%)

韓国特許庁長は、「宇宙経済時代における宇宙強国になるためには、技術開発だけではなくコア特許を確保するための努力が必要であり、特に民間企業の参加が重要である」とし、「韓国特許庁は宇宙技術分野における民間の競争力を高めるためにコア技術別の特許ビッグデータを民間に提供して有望技術を発掘し、宇宙技術を追撃する国から基礎技術を有する先導国への移行を達成するためにサポートする」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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