知的財産ニュース 産業財産権紛争調停委員会への上半期の月平均申請件数、前年比27.7%増

2022年7月26日
出所: 韓国特許庁

紛争調停、特許・商標権紛争解決の新しい代案として浮上

紛争を当事者間の対話と合意を通じて解決する調停制度が、最近、特許・商標・営業秘密などの知的財産紛争解決の新しい代案として浮上していることがわかった。

韓国特許庁によると、産業財産権紛争調停委員会への紛争調停申請件数は、近年増加傾向にあり、2019年45件であった調停申請件数は昨年83件へと増加した。今年上半期の累積申請はすでに53件に達し、月平均申請件数は前年比約27.7%増加(※)しており、調停成立率も50%(※※)に上っていることがわかった。
※調停申請(件):2019年45件→2020年70件→2021年83件→2022年上半期53件
※※調停成立23件、不成立23件、進行中6件、取り下げ1件(2022年6月時点)

このような調停申請の増加は、厳しい経済環境の下で、特許・商標・営業秘密などの侵害を受けた個人・中小ベンチャー企業が、長期間高額がかかる訴訟制度より、短期間無料で解決できる紛争調停制度に関心を持つようになったためと分析される。一例として、今年の産業財産権紛争調停委員会の調停成立件は、平均2か月以内(59日)に処理され、審判より4倍、訴訟より9倍早く紛争を解決(※)するなど、迅速な紛争解決に貢献したことがわかった。加えて、営業秘密・不正競争行為にまで調停対象を拡大し、審判・訴訟と紛争調停を連携させる制度を導入するなど、持続的な制度改善で活用度が高くなったことも申請増加に影響したものとみられる。
※(当事者系審判)7.7か月(2021年12月特許庁)、(特許侵害訴訟1審)平均16.8か月(2020年、法院行政処)

産業財産権紛争調停委員会は、特許、商標、デザイン、実用新案などの産業財産権および職務発明、営業秘密、不正競争行為などの紛争を迅速かつ経済的に解決できるよう支援するために1995年から運営されている委員会である。産業財産権等の紛争によって困難に直面している企業・個人が調停を申請すれば、別途の申請費用なしに、3か月以内に専門家による調停結果を受けることができる。さらに、調停が成立する場合、確定判決と同一の「裁判上和解」の効力が発生し、相手方が合意事項を履行しない場合、強制執行も可能であるため効果的な紛争解決の手段となっている。

産業財産権、職務発明、営業秘密、不正競争行為関連紛争で難航している企業・個人は、産業財産権紛争調停委員会事務局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから申請書をダウンロードして調停を申請することができる。申請書の作成に困難がある場合、産業財産権紛争調停委員会事務局(1670-9779)を通じて詳細に案内してもらえる。

特許庁の産業財産保護協力局長は「紛争調停は長い時間と費用が多くかかる訴訟・審判に代わって企業が有効に活用できる制度だ」とし、「より多くの企業が産業財産権紛争調停委員会を活用できるよう、関連制度を改善し、広報を強化していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195