知的財産ニュース 韓国特許庁、仮想商品の認定範囲および類否判断に関する指針を作成・施行

2022年7月13日
出所: 韓国特許庁

メタバースの仮想商品、このように出願してください

韓国特許庁は、近年、メタバースなどの仮想空間で仮想商品の取引が活性化し、関連商標の出願が増加(※)していることを受け、「仮想商品の審査指針」を設け、7月14日から施行すると発表した。
※(2010年~2019年)20件→(2020年)6件→(2021年)17件→(2022年5月)717件

従来は「ダウンロードできる画像ファイル(仮想衣類)」や「仮想衣類が記録されているコンピュータープログラム(仮想商品)」などの形態のみ商品名称として認められたが、今後は「仮想衣類」や「仮想履物」などの「仮想+現実商品」の形になっている名称も認め、出願人の商品名称の選択の範囲を拡大した。「仮想商品」という名称そのものは商品の範囲が曖昧で商標権紛争が発生する余地があり、商品名称としては認められない。

今回の審査指針では、仮想商品を画像ファイルまたはコンピュータープログラムと類似した商品に分類(※)していたことを、画像ファイル等とは区別される別の商品群に分類し、仮想商品も現実商品の性質を反映して細部的に区分することにした。これにより、仮想空間での商標紛争の発生を防止し、商標選択の範囲が過度に縮小する問題点を解消しようとした。
※商品分類コード(類似群コード):指定商品間の類似範囲を判断するために、商品そのものの属性および取引の実情などを反映し、同一・類似の商品およびサービス別に分類してコードを付与したもので、商標審査時に類否判断の参考資料として活用する。

最後に、仮想商品と現実商品は原則として互いに類似していない商品とみなして審査することになる。仮想商品は、現実商品の名称や主要な外見などの一部の要素を含めて表現しているため類似の商品であるという一部の主張があるが、仮想商品と現実商品は使用目的や販売経路などが異なるため、原則として消費者が混同する可能性は低いとみなす。ただし、有名商標等に類似している商標が出願された場合、当該有名商標等と混同する可能性があるかどうかなどを審査することになる。

特許庁の商標デザイン審査局長は「近年出願が増えている分野の仮想商品に対する審査指針を作成することで、出願人の混同防止および審査の一貫性を高めることができるとみられる」とした上で、「特許庁はこれからもデジタルトランスフォーメーションの加速化に伴う新しい商品の出願に備えて、実取引に相応する商品審査基準を確立していきたい」と述べた。

仮想商品の審査指針(2022.07.13)PDFファイル(221KB)

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