知的財産ニュース 先進運転支援システム(ADAS)関連特許出願、6年間3倍増

2022年6月13日
出所: 韓国特許庁

先進運転支援システムが自動運転車の時代を早める

現代自動車、メルセデス・ベンツ、ホンダなどの一部の完成車メーカーを中心に条件付き自動運転が可能なレベル3自動運転車の実用化が推進されていて、走行状況に合わせてドライバーをサポートする先進運転支援システム(ADAS、Advanced Driver Assistance System)技術が浮上している。

先進運転支援システムは、カメラ、レーダー、ライダーなどの感知装置により走行状況を認識してドライバーに危険状況などを自動で知らせ、スピードのコントロール等の一部の運転機能を自動化した技術である。前方の車両との距離を自動でコントロールするアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC、Adaptive Cruise Control)、自ら判断して駐車するスマートパーキングアシストシステム(SPAS、Smart Parking Assist System)、走行車線を逸脱する場合にドライバーに知らせる車線逸脱警報システム(LDW、Lane Departure Warning)などが実用化されている。

グローバルコンサルティング企業のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、先進運転支援システム(ADAS)市場は、2020年130億ドルから毎年13%ずつ成長し、2030年には430億ドルに上る見通しである。

韓国特許庁によると、韓国、米国、日本、中国、欧州に出願された先進運転支援システム(ADAS)関連特許は、2013年約2,000件から年平均約20%ずつ増加し、2019年には約6,000件に達している。国別には、中国(30.7%)、米国(27.6%)、日本(20.8%)、韓国(10.6%)、欧州(10.3%)の順で特許が出願された。出願人の国籍別には、日本が38.4%を占めて最も多く、中国(16.5%)、欧州(15.9%)、韓国(14.9%)、米国(11.8%)の順である。

企業の出願を見てみると、トヨタ、現代、ホンダ、日産の順で日本と韓国の完成車メーカーの出願が多く、ボッシュ、デンソー、Mando、日立などの自動車部品メーカーが後に続いていることがわかった。韓国企業の場合、自動車メーカーの他に、LGやサムスンなどの電子メーカーの出願が増加しており、特に、StradVisionやTHINKWAREのような中小企業の特許出願も着実に増えている。

米国の登録特許を基準に特許競争力を見てみると、米国は技術影響指数(※)が高いことから、完全自動運転車の開発に向けた技術で先行しており、日本は市場確保指数(※※)が高く、利便性と安全性の向上による市場の先取りにより集中していることと分析される。韓国は、市場確保指数では平均水準となっているが、技術影響指数が比較的に低く評価され、自動運転車の時代に備えた技術力の向上に向けてさらなる研究と投資が必要とみられる。
※当該特許権者の登録特許が後続特許によって平均的に引用された回数
※※当該特許権者の登録特許数に対するファミリー出願国数

特許庁長は「先進運転支援システム(ADAS)市場の成長につれ、関連出願は増加し続けるとみられる」とし、「迅速かつ正確な審査を通じて関連技術の開発を積極的に後押ししたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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