知的財産ニュース 産業界協力10周年記念IP5庁長会合を開催

2022年6月10日
出所: 韓国特許庁

持続可能な開発のための知的財産の役割についての議論を本格化

韓国特許庁は韓国、米国、日本、中国および欧州特許庁で構成された世界5大特許庁(IP5)庁長と産業界(※)代表との連席会議、庁長会合をそれぞれ8日、9日の両日で開催し、持続可能な開発目標を実現するための知的財産の役割などについて熱い討論を行って今後の協力方向について議論した。
※韓国知的財産協会(KINPA)、米国知的財産権者協会(IPO)、米国知的財産権法協会(AIPLA)、日本知的財産協会(JIPA)、中国専利保護協会(PPAC)、ビジネスヨーロッパ(BE)

IP5とは、世界全体の特許出願の約85%を占める知的財産分野の主な5か国(G5)である。韓国特許庁は、世界第4位に値する規模の特許申請を担当する知的財産機関であり、米国、日本、中国および応手特許庁とともに2007年度にIP5を設立し、「ユーザーフレンドリーなグローバル知的財産エコシステムの構築」をけん引している。

特に、この会合で産業界がIP5庁長会合に参加して10周年を迎え、これまでの成果を祝う一方、今後庁と産業界が緊密に協力できる方案を模索した。

IP5と産業界が協力して成し遂げた最大の成果としては、審査情報統合照会サービス(OPD:One Portal Dossier)が挙げられる。審査情報統合照会サービス(OPD)は、5庁に共同で申請された特許出願について先行技術調査の結果など各庁における審査情報が一目で確認できるサービスであり、2015年から民間開放して誰でも利用できる。

また、2021年には産業界のニーズに応じて先端技術・人工知能(AI)協力ロードマップを作成し、今後人工知能など先端技術分野における特許審査制度についての国際的な規範を策定する一方、関連技術を特許行政業務に取り入れて効率を高める案を取りまとめている。

この会合は、人類共通の課題である国連の持続可能な開発目標(※)を実現するための知的財産の役割と今後の協力方向について初めて議論した会合である点で重要である。
※人間、地球、繁栄、平和、パートナーシップという5つの領域において持続可能な開発の理念を実現するための17のゴールと169のターゲット(2015年第70次国連総会で決議)

IP5の庁長は、深刻になっている気候変動に迅速に対応し、先進国と途上国間の不均等を解消するため、各庁の政策を共有して今後の協力方法について意見を交換した。

韓国特許庁は脱炭素などグリーン技術分野の発明を効果的に保護するための優先審査制度の運営現状と途上国への政府開発援助の成果を紹介し、今後IP5が共同で先進国と途上国間の知的財産格差の解消に向けて力を合わせることを提案した。

韓国特許庁の特許庁長は「この会合はIP5が産業界協力10周年を迎えて「審査協力」中心のテーマを国連の持続可能な開発目標など「人類の普遍的問題を解決するための知的財産の役割」に拡大した点で大きな意味がある」とし、「韓国特許庁はこれからも知的財産分野をリードする国として、途上国との同伴成長を支援し、クリーンエネルギーや資源のリサイクルなど脱炭素技術の開発が促進できる知的財産政策を積極的に推進する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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