知的財産ニュース デザイン保護法・実用新案法の改正案、6月10日から公布・施行

2022年6月9日
出所: 韓国特許庁

デザイン権・実用新案権侵害行為に対して告訴期間(6か月)の制限なく、権利救済が可能となる

中小企業のA社は、自社の食品容器に係るデザイン権を侵害して模倣品を生産したBをデザイン保護法違反で韓国特許庁の特別司法警察に告訴した。韓国特許庁の特別司法警察は捜査の結果、Bの模倣品がA社のデザインと類似し、数億ウォンの被害が発生したことを突き止めた。しかし、Bが侵害した事実を知ってから6か月が経って告訴が行われたことが確認され、Bは刑事処罰を受けなかった。この法改正で今後、A社のように不幸な事例は消えると予想される。
韓国特許庁は、デザイン権・実用新案権の保護の強化に向けたデザイン保護法・実用新案法の改正案が6月10日(金曜)に公布されると同時に施行されると発表した。

これまでデザイン権・実用新案権侵害罪は親告罪(※)として規定されていたため、被害者が定められた告訴期間(6か月)以内に告訴しなければ刑事処罰ができなかった。
※被害者などによる告訴がなければ公訴が提起できない犯罪のことをいい、刑事訴訟法に基づいて犯人を知ってから6か月を経過した場合は告訴不可

そのため、法的知識に欠けた中小企業や個人などは権利侵害があったとしても適時に対応ができなく、告訴期間が経過してから告訴してしまい、刑事救済が受けられない場合がしばしば発生していた。

このような問題の解決のため、デザイン権・実用新案権侵害罪に対する親告罪を反意思不罰罪(※)に変更するデザイン保護法・実用新案法の改正案が2021年9月発議され、2022年5月29日に国会本会議で議決されて6月10日公布と同時に施行される。
※被害者が意思表示しなくても公訴が提起できるが、被害者が加害者の処罰を望まない場合は処罰できない犯罪のことをいい、6か月の告訴期間の制限無し

今後被害者は告訴期間の制限なく侵害者が告訴でき、捜査機関も被害者による告訴がなくても職権で認知した事件について捜査ができるようになった。

ただし、当事者間で合意して十分な損害賠償が行われる場合など、被害者がこれ以上処罰を望まない場合には、当事者の意見を尊重し、権利保護と処罰のバランスが取れるようにした。

韓国特許庁の産業財産保護協力局長は「これですべての産業財産権(※)侵害行為について、被害者は告訴期間の制限なく被害事実を主張して告訴できるようになり、権利救済がさらに強化された」とし、「特許庁はこれからも韓国企業の知的財産がきちんと保護される環境作りに積極的に取り組んでいく」と述べた。
※特許、実用新案、デザイン権侵害罪:反意思不罰罪/商標権侵害罪:非親告罪

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