知的財産ニュース 米国内で韓国企業の特許訴訟が増加、対応戦略の策定が必要

2022年5月9日
出所: 韓国特許庁

米国内で韓国企業の特許訴訟が増加、対応戦略の策定が必要

韓国特許庁と韓国知識財産保護院は、昨年の韓国企業の米国内特許訴訟の動向や主要な知的財産の争点などを分析した「2021 IP Trend年次報告書」を5月8日に発行した。韓国企業が海外での知的財産紛争に適切に対応できるよう情報を提供するために制作され、知的財産保護総合ポータルIP-NAVI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから誰でもダウンロードできる。

IP Trend年次報告書の分析結果によれば、米国で発生した海外企業と韓国企業の特許訴訟は2019年~2020年には減少したが、2021年には2020年(187件)に比べて約33.7%増加した250件が発生したことがわかった。昨年の訴訟を企業の規模別に見てみると、韓国の大企業と関連する訴訟が210件、中小企業が関連する訴訟が40件と、海外企業との訴訟に関連する韓国企業のうち大企業が高い割合を占めた。大企業は大部分が被提訴の件(176件)であるが、中小企業は提訴の件(24件)が被提訴の件(16件)より多く、韓国の中小・中堅企業が海外企業を対象に積極的な権利行使をしていることがわかった。

一方、韓国企業の訴訟は情報通信と電気電子分野に集中(74%)しており、被提訴の件全体のうち特許不実施主体(NPE)(※)による提訴が占める割合(77.6%)が高いことが明らかになった。特に、情報通信分野の訴訟は前年比約74.1%増加したことがわかり、米国で活動している情報通信分野企業の備えが必要であると分析された。
※特許不実施主体(Non Practicing Entity):保有している特許で直接的な生産(製造・販売)活動はせず、特許権を行使(ライセンス、損害賠償訴訟)するだけで収益を創出する事業者

一方、特許庁は、韓国企業が海外での知財権訴訟を事前に予防し、発生した紛争からの被害を最小限に抑えられるよう、「知的財産保護総合ポータルIP-NAVI」から多様な情報を提供している。主要国で発生する知的財産紛争の現況および主要事件の分析報告書、韓国企業を対象に提訴する可能性が高い特許不実施主体NPEの関連情報、国別知的財産関連法令の内容などを提供している。また、韓国企業の知的財産権を保護するための支援事業を統合的に案内しているため、企業はそれぞれの状況に合った事業を探し、支援を申し込むことができる。

特許庁の産業財産保護政策課長は「輸出企業は米国内での特許訴訟が増加傾向にあることを考慮して、知的財産紛争対応戦略をより綿密に立てる必要がある」と強調し、「韓国企業が海外での知的財産権紛争の際に積極的に活用できるよう、主要な特許不実施主体NPEの分析や主要な知的財産権判例の分析など、深層分析の情報提供を強化していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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