知的財産ニュース 水素ステーション技術の成長が水素自動車の大衆化を促す!

2022年5月2日
出所: 韓国特許庁

2010年以降、主要国の特許出願年平均15.6%増加

韓国特許庁によると、水素ステーション(※)に関する世界主要国の特許出願が2010年以降、年平均15.6%と急激に成長したことが明らかになった。
※水素ステーションは、水素自動車に350~700気圧の高圧で水素燃料ガスを供給する小規模プラント設備である。

特許出願が大幅に増加したのは、気候変動対応政策の一環として、世界的に水素自動車と水素充填施設への関心が大きく高まったからであると見られる。過去20年間、知的財産世界5大特許庁に提出された水素ステーション技術の出願件数は計1,352件であり、国別には、中国(504件、37.3%)に最も多く出願され、日本(282件、20.9%)、米国(257件、19.0%)、韓国(171件、12.6%)、欧州(138件、10.2%)の順となっている。出願人の国籍を見てみると、日本(31.3%、423件)で技術開発が最も活発である。その次は中国(29.2%、395件)と、2018年以降中国で出願件数が急増したことから、今後、中国の技術発展が一層加速するものと予想される。欧州(18.8%、254件)、韓国(9.9%、134件)、米国(8.7%、117件)がそれに次いだ。

韓国は2010年以降、出願が大幅に増加し、年平均5.5%の出願増加率を示しているが、世界平均(15.6%)に比べてやや低い成長である。最近(2019年以降)は、液化水素ステーション(※)技術(8件)で他国(欧州5件、日本5件、中国5件、米国3件)を追い越しているが、水素・電気・ガソリンなどを併せて充填・充電できる複合型水素ステーション(6件)は、中国21件、米国11件に比べて出願が比較的に低調で、これから複合型水素ステーション技術に対する研究開発の拡大が必要と見られる。
※液化水素は、気体水素に比べ800分の1規模の体積であり、貯蔵・運送の効率が高く、爆発のリスクも比較的に低くて液化水素ステーションが気体水素ステーションに比べて優れたメリットがある。

韓国では企業(79.9%)が大部分の出願を占めているが、大学(6.7%)および研究所(4.5%)が他国の平均(それぞれ3.6%、2.3%)に比べて多少高い割合を占めており、民間企業だけでなく学界や研究界でも研究開発が盛んに行われているものと見られる。

特許庁の一般機械審査課審査官は「水素自動車の普及に向けたコア施設である水素ステーションの技術が成長段階に入り、関連特許出願はこれからさらに増えると予測される」とし、「水素ステーション市場が拡大する見通しであり、世界の特許出願が急激な増加を見せているだけに、韓国もコア技術の競争力を育てて世界トップ圏入りとともに水素ステーションの普及も一層拡大する必要がある」と述べた。

水素ステーションの市場展望および設置現況

海外の経済専門誌(FORTUNE BUSINESS INSIGHTS、2021)によると、水素ステーションの世界市場の規模は2021年4.1億ドルから2028年26.7億ドル(年平均30.8%成長)に上ると見込まれている。

韓国国内の水素ステーションは、2021年12月時点で、全国に170基が設置(107か所で129基が運営中)されており、2022年に310基の構築を目指していて、2040年までに1200基が設置される予定である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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