知的財産ニュース コロナ感染のご心配なく、顔だけ映してください!

2021年12月15日
出所: 韓国特許庁

顔、虹彩などを利用した非接触型生体認証関連特許出願83.7%増加

現代自動車グループのジェネシスは、車が自らドライバーの顔を認識してドアを開ける「フェイスコネクト」を商用化した。また、ロシアのモスクワでは地下鉄の改札口に顔を映せば運賃が自動で決済される「フェイスペイ」が使われている。

会社員が毎朝出くわす出入りゲートの市場でも、コロナウイルスの接触が懸念される指紋認証型よりは、マスクを着けたまま顔を認証する技術や顔認証とともに体温を測る技術など、さまざまな新技術が導入された顔認証型出入りゲートが注目されている。

※MarketandMarketsは、グローバル生体認証市場が2020年366億ドル規模から年平均13.4%成長して、2025年には686億ドル規模にのぼると見通しており、接触型生体認証方式CAGR(2020-2025)は9.0%、非接触型生体認証方式CAGR(2020-2025)は16.1%、ハイブリッド型生体認証方式CAGR(2020-2025)は19.3%と予想している。
韓国特許庁によると、顔、虹彩、音声などを利用した非接触型生体認証関連特許出願が2015年431件から2019年792件に83.7%増加して2倍近く増えたことが明らかになった。これは、人工知能およびビックデータの処理技術の発展に伴って顔、虹彩などを認識する速度および正確度が急激に向上したことによると見られる。

生体認証は指紋、顔、虹彩、音声などの身体の特性を抽出して個人を識別する情報化技術であり、身体の一部を機器に直接触れる「接触型生体認証」と、顔や虹彩などと一定距離を取って撮影し識別する「非接触型生体認証」に区別される。

非接触型生体認証技術の種類

顔認証:顔全体よりは鼻、口、あご、眉、骨格などを分析して認識する技術で、生体情報の提供に対する抵抗感が低い
虹彩認証:虹彩の高解像度イメージパターンを、赤外線を利用して撮影し、デジタル変換を通じて個人の固有の特徴を抽出する技術
音声認識:音声から抽出した独特の特性を利用する認識技術で、音声の経路、鼻腔と口腔の形などによる音声学的な特性を利用

ここ5年間の生体認証関連特許出願を見てみると、接触型および非接触型技術を含む全体の特許出願は2015年1,031件から2019年1,295件へと25.6%増加した。細部技術別に見ると、接触型生体認証の出願は2015年600件から2019年503件に16.2%減少した一方で、同じ期間、非接触型生体認証の出願は毎年増加し続けていることがわかった。

最近急増している非接触型生体認証の特許出願を出願人の国籍別に見ると、韓国人74.1%(2,128件)、米国人11.5%(332件)、中国人4.1%(177件)、日本人1.8%(53件)であることがわかった。韓国の全体特許出願に中国人が占める割合(1.84%)と比べてみると、非接触型生体認証分野での中国人の出願割合が目立つ。これは、中国政府が2015年から人工知能と顔認証技術を中心に据えた治安維持プロジェクト「天網」を積極的に推進しており、中国企業もそれに合わせて顔認証技術に対する研究開発を加速化しているためであると見られる。

特許庁の電子部品審査課審査官は「広く利用されている指紋認証機器が新型コロナの感染拡大の媒体になるかもしれないという懸念から、ウィズコロナ時代でも非接触型生体認証産業は持続的な成長が見込まれる」とし、「このような生体認証技術はモノのインターネット、人工知能などに代表される第四次産業の基盤になる分野であるため、韓国企業は積極的な技術開発と特許ポートフォリオの構築を急ぐ必要がある」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195