知的財産ニュース ディープフェイク、AI用学習データ分野の新しいゲームチェンジャーとして急浮上

2021年12月10日
出所: 韓国特許庁

ディープフェイク基盤AI学習関連特許出願、年平均135%以上増加

A社の開発者キムさんは、自動運転用AIを学習させるために、夜間運転データが多く必要だが、真っ暗な夜間の運転データは収集も簡単ではなく、品質も低い。
→「ディープフェイク」技術で昼間運転データを夜間運転データに変換して学習に活用

最近、人工知能関連企業が有名人のフェイクイメージを作ることに用いられていた「ディープフェイク」技術をAI学習データの生成に積極的に活用していて、関連技術の先取りに向けた特許出願が増えている。
人のように人工知能も持続的な勉強が重要だが、人工知能の訓練に欠かせない学習用データの量と品質が人工知能の性能を左右するだけに、質の良い学習用データを多く確保するための努力(※)と競争が激しくなっている(※※)。
※AI企業は平均的に開発費用の約75%と開発時間の約80%をデータの収集・加工に使用(2020年11月、NIA IT&FUTURE STRATEGY第7号)
※※学習データの市場規模は年平均成長率23.14%の見込み(2021年5月、Global AI Training Dataset Market Forecast to 2020、YV Intelligence)

人工知能の学習に必要なすべてのデータを私たちの周りから簡単に集めるのは難しいため、最近は既存のデータを変形または再加工してAI用学習データを新たに作る技術が注目されている。

既存のデータから新たなデータを作り出す、いわゆる「データ拡張」分野で、最近は有名人のフェイクイメージを「合成」する技術で知られるディープフェイク技術が新しいゲームチェンジャーとして浮上している。

ディープフェイク技術は敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks、GAN)(※)のAI技術を基盤とし、特に人の手間をかけず高品質の合成映像が得られる画期的な技術として評価されている。
※GANは2014年、モントリオール大学のヨシュア・ベンジオ教授とイアン・グッドフェロー氏が初めて開発したAI生成技術で、偽の例題を作る生成モデルと偽の例題を本物と区別する判別モデルの敵対的構造の訓練方式を通じて本物のような偽物を生成することができるため、フェイクイメージを作るのに広く利用されている。

最近になってこのようなディープフェイク技術は、夜間に高速運転中、いきなり野生動物が飛び出してくる場合のように収集が難しいデータを新たに作って使用するデータ拡張分野で積極的に活用されている。

韓国特許庁が韓国、米国、欧州などの特許を分析した結果によると、学習データの重要性が高まるにつれてAIデータ生成関連の全世界の特許出願が持続的に増えており、その中でも「ディープフェイク基盤データ拡張」分野のここ5年間の年平均成長率は135%にも上り(2015年37件→2018年1,124件)、既存技術である統計的技法の出願量をはるかに上回った。

出願人の国籍別に見ると、グーグル等が含まれた米国の出願人が44%と1位であり、3位の韓国も14.5%と、2位の中国(18%)と大差はなく、韓国企業もこの分野での技術開発に積極的であることがわかる。

特に、StradVisionなどの韓国企業の出願が2017年から急増して韓国出願人の有効特許が2018年に日本と中国を追い越すなど、韓国企業の技術競争力が高まっていることと分析される。

特許庁の人工知能ビックデータ審査課の特許チーム長は「学習データが人工知能の性能を左右する状況を考慮すると、『ディープフェイク基盤データ拡張』技術は人工知能の性能を画期的に向上させる技術と評価される」とし、「特に数年前、人工知能の時代を切り開いたディープラーニング技術のようにディープフェイク技術関連論文と特許が共に増加しているため、ディープラーニングのようにディープフェイク技術が産業的・学問的価値の高い人工知能のコア技術として定着すると見られる」と述べた。

一方、特許庁は12月14日火曜日の13時30分、韓国知識財産センターでディープフェイク基盤データ拡張技術に関する特許分析の結果を産業界と共有するために、知能情報産業協会と共同で「人工知能分野の特許および産業の動向セミナー」を開催する予定である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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