知的財産ニュース 改正「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」を公布

2021年12月7日
出所: 韓国特許庁

データの不正取得・使用行為および有名人の肖像・姓名等の無断使用行為を不正競争行為として規定

韓国特許庁はデータの不正取得・使用行為および有名人の肖像・姓名等を無断で使用する行為を不正競争行為として新設する改正「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」(以下「不正競争防止法」)が本日(12月7日)公布され、来年施行予定(※)であると発表した。
※(データの不正取得・使用)2022年4月20日施行、(有名人の肖像・姓名等の無断使用)2022年6月8日施行

データの不正取得・使用行為を不正競争行為として新設

データ経済時代の到来によってデータの確保および活用能力が企業の競争力を左右する最重要要素となり、世界各国が我先にと自国の事情に合わせてデータ関連法制を整備(※)している。
※(日)限定提供データの不正取得・使用・公開行為を不正競争行為として規定(2018年)
※(米)海外にある自国企業データへのアクセス権を保障するための「CLOUD Act」を制定(2018年)
※(中)自国内データの保護・検閲を強化するための「ネットワーク安全法」を施行(2017年)

そのため、韓国もデータ構築にかかったコストと努力に適合した報奨をすることでデータの利用および流通が自由に行われる環境を整える必要があるという意見が提起されてきた。

ただ、データそのものに独占的権利を付与すれば、活用が萎縮してまだ育成段階にあるデータ産業の発展を阻害する恐れがある。したがって、改正法は取引を目的にして蓄積・管理したデータの不正取得および使用行為だけを不正競争行為として新設して、データの保有者が保護を受けられるようにした。

これからはデータの不正取得および使用行為が発生する際に裁判所に禁止を請求することができ、損害が発生した場合は賠償の請求も可能になる。また、特許庁に行政調査を申請して是正勧告等の救済も受けることができる。

特に、技術的保護措置を無力化する行為に対しては、刑事処罰(3年以下の懲役、3千万ウォン以下の罰金)も可能になる。

今回の特許庁の制度改善は、最近制定された科学技術情報通信部の「データ産業の振興及び利用促進に関する基本法」(2021年10月19日)と関連して、両機関間の優秀な協力および積極行政の推進事例と言える。

有名人の肖像・姓名等の無断使用行為を不正競争行為として新設

韓流の影響力が拡大し、有名人の肖像・姓名等の顧客吸引力が増加するに伴ってこれらを無断で使用する不法行為が発生してきたが、現行の法律上明示的規定がなく、保護が困難であった。

そのため、有名人の肖像等の財産的価値を認めて無断使用を規制する米国、英国、日本などの海外の事例を参考にし、一日も早く関連法を導入しなければならないとの意見が以前から提起されてきた。

こうした業界の声に応じて、改正法は有名人の肖像・姓名等を無断で使用する行為を不正競争行為として新設し、不正競争防止法に基づいて被害を救済してもらえるようにした。

これからは有名人の肖像・姓名等の無断使用行為によって経済的利益を侵害される場合、裁判所に無断使用行為に対する禁止を請求することができ、損害が発生した際は賠償の請求も可能になる。また、特許庁に行政調査を申請して是正勧告等の救済を受けることができる。

特許庁長は「データの不正取得・使用行為と有名人の肖像・姓名等の無断使用行為は他人の成果にただ乗りする行為」とし、「今回の法改正を通じて、データの保有者および有名人などの投資・努力に対して正当な対価を支払う取引環境が整うことを期待する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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