知的財産ニュース 有名人の肖像・姓名が持つ財産的価値、これから法律で守られる

2021年11月30日
出所: 韓国特許庁

パブリシティ権保護のための韓国初の明文規定新設、データ保護に向けた不正競争防止法の改正案とともに国務会議を通過

韓国特許庁は、有名人の肖像・姓名などを不正に使用する行為と、データを不正取得・使用する行為を不正競争行為として新設する「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」(以下「不正競争防止法」)の一部改正案が30日火曜日に国務会議を通過したと発表した。

最近、イカゲームやBTSなどの韓流の影響力が急激に拡大し、こうしたコンテンツを活用した製品とサービスも多様化している。アイドルの肖像とサインが入った飲み物、有名俳優を思わせるイメージが使われる広告が毎日新しく登場している。これに伴って、韓流スターの肖像・姓名などを無断で使用した違法製品、サービスが雨後の筍のように発売されているのも現実である。

このような無断使用行為は、韓国のエンターテインメント産業の従事者が長い間投資してきた努力、費用にただ乗りする行為である。しかし、これまで韓国では、こうした違法行為を適切に規律できる規定が不十分だった。

憲法、民法に基づいて有名人の肖像・姓名などの無断使用行為を一部制裁することができるが、これは肖像・姓名などを人格権として保護することであるため、精神的な被害のみ保護(慰謝料)できる。その結果、有名アスリート、映画俳優の肖像・姓名などを広告等に無断で使用しても、被害者は実際に発生した被害よりはるかに少ない金額だけ賠償されることになるなど、財産的な被害に対しては適切な保護が実施されなかった。

今回行われた不正競争防止法の改正は、有名人の肖像・姓名などを無断で使用して経済的な被害をもたらす行為を規律する内容である。いわゆる「パブリシティ権」を保護するための法的根拠が韓国に初めて新設されるのである。米国をはじめとする主要国は、すでに関連法令または判例を通じてパブリシティ権を保護している。

改正された不正競争防止法によると、有名人の肖像・姓名などを無断使用して経済的な被害を及ぼす場合、それに対して禁止請求・損害賠償請求等の民事的救済措置および特許庁の行政調査・是正勧告等の行政的救済措置が可能である。本改正法律案は12月7日に公布され、公布後6カ月以降に施行される。

一方、今回の不正競争防止法の改正案には、取引を目的として生成したデータを不正に取得・使用する行為を不正競争行為として規律する内容も盛り込まれている。デジタル時代で金融資本に匹敵する必須資源として浮上しているデータを安心して取引できる保護基盤を拡充するためのものである。

改正案によると、データの不正取得・使用行為の被害者は、禁止請求・損害賠償請求、特許庁の行政調査・是正勧告等の救済措置を活用できる。改正案は来年4月20日から「データ産業振興及び利用促進に関する基本法」と同時に施行される。

特許庁長は「今回、不正競争防止法の改正により、有名人の肖像・姓名などの無断使用行為および取引目的で生成したデータを不正に取得・使用する行為を適切に規律できるようになった」とし、「韓国のエンターテインメント産業とデータ産業の発展を促し、韓国企業がグローバル市場の主役として成長・活躍するきっかけになるだろう」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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