知的財産ニュース 商標出願の増加傾向に拍車をかける!10年間で2倍増加する見込み
2021年11月22日
出所: 韓国特許庁
商標制度への意識向上などによる、個人・新規出願の増加が商標出願の増加をけん引
韓国特許庁は、商標出願が増加を続けており、10年前に比べて出願件数が2倍以上増加する見込みであると発表した。
※2021年上半期の出願件数(17万7,804件)が2011年全体出願件数(17万2,958件)を超過
米国、中国、欧州における出願も増加傾向を見せており、米国は2021年上半期の出願が前年同期に比べて56.5%増加した。米国特許商標庁(USPTO)は、このような増加傾向の主な原因は中国企業の出願増加(2021年上半期基準、全体出願の29%)であると明らかにしたが、韓国の場合、米国とは対照的に国内における個人出願の増加が全体出願の増加をけん引している。
主に個人出願件数の増加と新規で進入する出願人の増加が、全体の商標出願件数の増加に影響を与えている。
2020年には個人出願件数の増加率が21%に達し、11万件以上出願したと把握している。
※個人の商標出願件数:(2018年)8万6,000件→(2019年)9万7,000件(12.7%増)→(2020年)11万7,000件(21%増)
また、新規の出願人も引き続き増加している。2020年には韓国国内における新規出願人(個人・法人全体)が前年に比べて16.6%増加したが、そのうち個人の新規出願人が前年比31.8%増加したことが分かった。
※韓国国内の新規出願人:(2019年)3万4,399→(2020年)4万126/個人の新規出願人:(2019年)2万2,987→(2020年)3万315
出願件数と新規出願人が増加する原因は、商標制度への意識向上であると分析される。これは、特許庁が実施した出願人対象のアンケート調査で、商標を出願するきっかけとして、回答者の50.8%が「商標権の重要性に対する意識が高まった」を選んだことから見て取れる。
一方、アンケート調査の結果、商標出願をするタイミングについて、製品は製品の開発段階に、サービス業は事業者を登録した後に最も多く出願することが分かった。
「製品開発の段階で予め出願をしておく」は30.3%であり、「製品を発売する前」24.4%、「製品を発売した後に出願する」14.3%に比べて高い数値である。これは製品に使用する商標を先に確保するためであると解釈できる。
一方、サービス業では、「事業者登録をした後に商標を出願する」が36.2%で最も多く、「事業者登録と同時にする」が16.6%、「商号を決める前にする」が13.3%で、製品の商標出願とは様相が異なる。ただし、このような場合、すでに登録されている他の商標があると登録が拒否される可能性があるため、事業者を登録する前に予め商標を出願しておく必要がある。
さらに、「出願後に商標をすぐ活用する」が多数(71.2%)を占めており、審査の迅速化が求められていることが分かった。ただし、出願増加により、審査処理にかかる期間が継続的に延びており、審査処理期間の短縮へのニーズが高まると予想しているため、特許庁としては大きな課題を抱えるようになった。
特許庁の商標デザイン審査局長は、「国際的にも商標出願が増加する傾向であり、予め商標を出願して商標権を確保しておくことが、今後さらに重要になる」と強調し、「審査処理期間を短縮するために審査人数を増員するなど、さまざまな努力を重ねてきており、これからも積極的に取り組んでいきたい」と述べた。
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