知的財産ニュース ホログラム、実際と仮想の境界を崩すディスプレー時代の到来
2021年10月25日
出所: 韓国特許庁
ホログラム映像実現技術特許出願の増加
韓国電子通信研究院は、最近、完全な360度カラーホログラム映像(注1)を虚空に映して相互作用を可能にする成果を上げた。(2021年5月31日)仮想現実および拡張現実のコンテンツをホログラムで実現させる場合、空想科学映画のように、空間でタッチとともに実感効果を最大化できる。
「第3回第四次産業革命フェスティバル」(2021年10月6日)では、亡くなった韓国歌手の公演をホログラムで再現し、2021年9月、芸術の殿堂は、韓国ソプラノ歌手のホログラムコンサートを披露した。ビルボード・ミュージック・アワードでは、米国の歌手マイケル・ジャクソンをホログラムでよみがえらせ、韓国コンテンツ振興院は、「K-POP融合・複合ホログラム公演場」を海外の有名観光地(シンガポール)に開館した。ホログラムは、すでに多くの人々に生き生きとした公演の現場を見せている。
新型コロナウイルスによる非対面社会の到来がデジタル映像技術の発展を速めているのは当然のことである。最近、世界中で人気を博している韓国のK-POP文化もホログラム映像を通じて広がっている。
世界のホログラム市場の規模は、2024年時点で199億ドルと、年平均5%以上成長する見通しであり、特に、ホログラムを実現させるホログラフィックディスプレー市場は、2018年以降、年平均29.7%の急激な成長率をもとに、2024年には40億ドル規模まで成長するとみられる。
医療、家電、ゲーム、文化、サービスなど、社会全般のディスプレー分野をホログラムに代替する可能性を反映すると言える。
韓国特許庁によると、2000年から2020年まで、デジタルホログラム技術に関する韓国国内の特許出願は、ここ20年間、年平均7%上昇した。
韓国、米国、日本、欧州、中国の世界5大特許庁(IP5)を国別に調査した結果、米国では513件と、特許出願が最も多く行われ、韓国328件、中国296件、日本212件、欧州連合186件の順であり、日本を除いた大部分の国で増加の傾向がみられている。
出願の主体別に韓国の特許出願の現状を見ると、企業、研究所、大学、個人の順で多く、特に、企業の比率が全体特許出願の71%と、他よりはるかに高くなっている。
ここ10年間(2010~2020年)の韓国の特許出願の主要出願人は、サムスンが最も多い64件であり、続いて韓国電子通信研究院、LG、光云大学校、韓国電子技術研究院の順となっている。韓国の大企業を除いた中小企業の特許出願が少ないことがわかる。
特許庁放送メディア審査チームの特許チーム長は、「世界のホログラム市場が急激に拡大している中、グローバル先導企業の『SeeReal Technologies』をはじめとする海外企業は、特許出願の権利化に非常に積極的だ。韓国の大企業と研究所、特に中小企業は、競争力のある高品質の特許出願とともに積極的な権利化戦略にさらに取り組む必要がある」と強調した。注記
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ホログラムは、光の干渉性を利用して空間に直接映像を射影する。そのため、既存のメガネ式三次元立体映像のように眺める物体位置と両目の焦点の不一致による疲労感やめまいが発生しないという特徴がある。
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