知的財産ニュース 新型コロナウイルスに関連する治療薬・ワクチンの商標出願が急増

2021年10月5日
出所: 韓国特許庁

「新型コロナ、コビッドなど」を含む指定商品、前年に比べて107.7%増

韓国政府は、全国民の70%以上が2回目のワクチン接種を完了して集団免疫が獲得できると言われている11月上旬から「ウィズコロナ時代」が始まると見込んでおり、完全に日常に戻る時期は、治療薬が商用化される年末になると予測している。2021年4月に韓国初の新型コロナウイルス治療薬である「REGKIRONA」が商標登録され、その後7月に「SKYCOVID19」が韓国国内では初めてワクチン商標として登録された。

※商標:REGKIRONAセルトリオン、2021年4月30日登録
※※商標:SKYCOVID19SKバイオサイエンス、2021年7月14日登録

韓国特許庁は新型コロナウイルスのワクチン、治療薬などの開発および製品化が本格化し、「新型コロナ」などを指定商品として含めた商標出願が2021年8月末の時点で、前年比107.7%増加したと発表した。

※新型コロナウイルスの拡散以降、「新型コロナ、COVID-19」などを含む商標出願:(2020年)26件→(2021年8月)54件
※※四半期別:(2020年第2四半期)2件→(2020年第3四半期)3件→(2020年第4四半期)21件→(2021年第1四半期)38件→(2021年第2四半期)16件

商標を出願する際には、その商標を使用する商品を指定するようになっており、2021年になって「新型コロナ」に関連する指定商品が含まれた出願(※)が急増したのである。

※出願事例:(商標 GCoviding)、(指定商品)COVID-19のワクチン、COVID-19の血漿治療薬、ウイルスワクチン、感染症治療用薬剤、医療用抗体、人体用薬剤などの20商品

指定商品を内容別に見ると、2020年は新型コロナウイルスの拡散防止に向けた診断キット(試薬を含む)、防疫器などの商標出願が中心となっており、2021年はウイルス治療用のワクチン、治療薬などに変わった。

特に全体の新型コロナウイルスに関連する指定商品の出願のうち、治療薬が2020年に比べて131.3%増加した。

※新型コロナウイルス関連の指定商品に対する商標出願の推移:(2020年)治療薬16件、診断キット6件、防疫器2件の計26件→(2021年1月~8月)治療薬37件、ワクチン13件、診断キット1件の計54件

出願人の類型別では、韓国法人が2020年20件から2021年27件に35%増加したのに比べて、外国法人は5件から24件に、380%という著しい増加率を示した。

臨床試験を経たワクチン、治療薬、経口用薬剤形などの商用化を製薬会社が進めており、外国法人(※)による韓国国内での商標出願も続いているため、これから商標登録の競争がより激しくなると予想される。

※外国法人の商標出願例
Sputnik V:Limited Liability Company(ロシア)、2020年9月出願
moderna:ModernaTx、Inc.(米国)、2021年1月出願

一方、医薬品全体における出願のうち、感染症に関連するワクチン、免疫調整剤、抗ウイルス薬、抗体治療薬、血漿治療薬を指定商品として含めた出願は、新形コロナウイルスの拡散を起点に、2020年は2019年に比べて66.9%増、2021年は8月末現在基準で2020年の出願件数をすでに超えている。

※ワクチンなどを含む指定商品:(2016年)867件→(2017年)992件→(2018年)1,187件→(2019年)899件→(2020年)1,500件→(2021年8月)1,735件

特許庁の化学食品商標審査課の審査官は、「史上最悪のパンデミックといわれる黒死病(ペスト)の拡散は、フレミングのペニシリン発明と治療薬商用化のおかげで終息された。このように、今回も商標出願された治療薬の製品化が一刻も早く成功し、私たちの日常が回復できることを期待している」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195