知的財産ニュース 出願人による過ちの救済および知的財産権獲得の機会を拡大するための、特許法・商標法・デザイン保護法の改正案が国会本会議を通過

2021年9月30日
出所: 韓国特許庁

  1. 共通:拒絶査定不服審判における請求期間の延長(30日→3ヵ月)、書類の未提出・手数料の滞納などにより消滅された権利の回復要件を緩和(責任を負うことができない事由→正当な事由)など
  2. 特許: 拒絶査定不服審判において拒絶査定が維持(棄却審決)されても登録可能な部分のみを区分して出願する分離出願制度の新設など
  3. 商標・デザイン:審査官の職権による再審査制度の導入など

韓国特許庁は、知的財産権(知財権)基盤が弱い個人、中小企業による過ちを積極的に救済し、権利獲得の機会を最大限保障するための特許法・商標法・デザイン保護法の一部改正案(ソン・ガブソク議員の代表発議)が9月29日(水曜)に国会本会議を通過(※)したと発表した。

※10月中に改正法律案を公布する予定→公布後6ヵ月が経過した日から施行

  • 特許・商標・デザイン共通:まず、拒絶査定不服審判の請求期間を現行の30日から3ヵ月に伸ばすことで、審判に対する十分な準備期間を提供(※)し、不必要な期間の延長(※※)を最小限に抑えることができるようになる。

※主要国における特許拒絶査定不服審判の請求期間:米国‧日本‧中国は3ヵ月、韓国は30日
※※特許拒絶査定不服審判における期間延長の割合(2020年):32.1%(643件/2,001件)、期間延長費用:1回2万ウォン(5回以上24万ウォン)

また、書類の提出、手数料の納付などの期間が経過して権利が消滅された場合、権利回復の要件を「責任を負うことができない事由」から「正当な事由」に緩和した。例えば、新型コロナウイルスにより突然入院して手続きを進められなかった場合などは、これから救済することができるようになる。

これに加えて、先出願に優先権主張ができるものがあれば、先出願に対する分割出願を行う際にも優先権を自動的に認められ、優先権主張の欠落(※)などの過ちにより出願が拒絶されることを防止できるようになる。

※分割出願の際に優先権主張を欠落した特許出願は、年平均137件(2016~2020年平均)

  • 特許:現在は、拒絶査定不服審判が行われると、一部は登録できるが特許全体が拒絶されるため、登録可能な請求項があっても、特許を受けることができなかった。しかし、改正案では、審判で拒絶決定が維持(棄却審決)されても登録可能な請求項のみ区分して出願する分離出願制度を新たに導入することで、出願人の権利獲得の機会を拡大した。

また、特許査定の後も、市場の状況に合わせて発明が改良された場合、改良発明を追加して、国内における優先権主張の出願が可能になる。

  • 商標・デザイン:登録査定された商標・デザイン登録出願が設定登録される前に審査官が明らかな拒絶理由を発見した場合、登録査定を取り消し、職権で再審査できるようして無効事由がある不良権利の発生を事前に遮断することで、紛争余地を事前に防止することができる。

また、デザイン登録拒絶査定に対応して「再審査請求時」に補正書を提出しなければならなかったが、それが「再審査請求期間内」に拡大される。

特許庁長は、「コロナ禍にも関わらず、2020年に引き続き、2021年も知財権出願の増加傾向(※)が続いている」とし、「知財権を通じて、危機を乗り越えようとする取り組みが続いている状況で、今回の改正は、知財権の基盤が弱い個人、中小企業に大きな助けになると期待している」と述べた。

※知財権(特許・商標・デザイン)の出願動向(毎年8月):(2019年)32万4,244件→(2020年)34万2,003件(5.5%増)→(2021年)37万8,509件(11%増)

「添付1」特許法・商標法・デザイン保護法一部改正案の説明資料PDFファイル(316KB)

「添付2」特許法改正案における分離出願制度導入の概要PDFファイル(625KB)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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