知的財産ニュース 3密の危険なエレベーターの進化、新型コロナウイルス安心技術の搭載

2021年9月14日
出所: 韓国特許庁

ウイルス伝播遮断技術を融合させたエレベーターに対する特許出願が急増

韓国特許庁は、日常生活の代表的な「3密」(密閉、密接、密集)場所であるエレベーター内でウイルスの伝播を遮断する技術に対する特許の出願が2020年に前年対比6倍以上急増したと発表した。

エレベーター内のウイルス伝播遮断技術に対する特許出願は、この10年間(2010~2019年)は年平均15件程度であったが、新型コロナウイルスの世界的大流行により2020年だけで114件と大幅に増加した。

エレベーターに適用されるウイルス伝播遮断技術には、(1)直接ボタンを押さなくてもエレベーターを呼んで目的階が選択できる非接触式情報入力技術、(2)内部の空気を浄化し、殺菌・消毒する技術、(3)接触式ボタンを殺菌・消毒する技術(※)が含まれる。

※ボタンに付着する抗菌フィルムに対する出願は除外

非接触式情報入力技術においては、赤外線センサーやカメラなどを通じて人の手を認識し、情報が入力される方式と、音声及びスマートフォンなどを通じて情報が入力される方式などが主に適用されていることが分かった。

また、内部空気の浄化及びボタンの殺菌・消毒技術においては、エレベーター内に人がいない時に殺菌剤を散布、またはUV(紫外線)で殺菌・消毒する方式が主に適用されることが分かった。

詳細技術別の出願を見てみると、非接触式情報入力技術が40件(35%)、内部空気の浄化及び殺菌・消毒技術が38件(33%)、ボタンの殺菌・消毒技術が36件(32%)で、技術別には比較的均等に出願されている。

一方、内部空気の浄化及び殺菌・消毒技術と、ボタンの殺菌・消毒技術分野の出願においては、毎年10件にも至らなかったものが、2020年にはそれぞれ38件、36件と、増加幅が大きい。

出願人別に見ると、2019年までは企業・研究機関からの出願の比重(71%)が高かったが、2020年には個人(61%)の比重が企業・研究機関(39%)よりはるかに高いことが分かる。

これは、エレベーターを利用する際、短い時は数十秒、長い時は2~3分まで「3密」の状況に置かれ、国民が肌でウイルス伝播に対する危険性について深く感じるようになり、このため、思い浮かんだアイデアが死蔵されず、特許出願に繋がったと考えられる。

韓国特許庁の運送機械審査課の審査官は、「新型コロナウイルスによる危険な環境が新技術を通じて少しずつ改善されていくことを願い、特許庁では、この度のエレベーターの事例のように、日常生活において感じる問題や不便を解決するアイデアが特許出願に繋がれる環境を整えるための政策的な支援に最善を尽くす」と述べた。

参考として、今年から韓国特許庁は国民の斬新なアイデアが死蔵されず企業に繋がるように、アイデア取引サービス(オンラインアイデアプラットフォーム「アイデア路」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を提供している。

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