知的財産ニュース 有名になったら、誰もかれも真似して出願する?

2021年8月30日
出所: 韓国特許庁

真似た商標は登録が難しくなる、出願に注意が必要

2021年4月、有名なソーシャルネットワークサービスである「インスタグラム」は、他社の商標「インスタモデル」を相手に起こした商標登録の無効訴訟で勝訴した。韓国特許法院の裁判部は、「インスタモデル」が「インスタグラム」の略称を類似しており、その名声に便乗して不当な利益を得ようとする目的があると判断し、商標登録無効の事由に該当すると結論付けた(特許法院2020ホ4464)。このように有名商標を真似た商標出願は登録拒絶されるか、または商標権侵害になる可能性が高い。

韓国特許庁によると、最近広く知られている他人の名前や商標を真似た商標が頻繁に出願されていることが分かった。

主に自分の商品を短時間で知らせるために使う方法であり、風刺やユーモアが含まれている場合が多い。

米国では、表現の自由のため、従来の商標を戯画化して表現したことが明確である場合、商品出所を混同する可能性がないと判断し、商標権侵害と認めない。

「米国で混乱する可能性がないと認めた事例」
項目 販売商品 真似た商標
事例1 既存販売されている酒類 既存販売されている酒類を真似なペットのおもちゃ
事例2 既存販売されているルイヴィトン 既存販売されているルイヴィトンを真似たペットのおもちゃ

ただし、既存の商標を真似た商標が、本来の商標と区別できないため混同を引き起こす可能性があり、市場において公正な競争を阻害する恐れがある場合、商標権侵害として判断している。

韓国では、どう判断しているのか。韓国では、既存の商標を真似た商標の大体は、権利として認められていない。つまり、商標権として登録を受けるために出願しても拒絶される可能性が高い。

ただし、商標は同一・類似の商標だが商品が異なる場合は、その商標が(1)有名な商標と混同を引き起こすか、それともネガティブな影響を与える恐れがあるか、(2)不正な利益を得るか、それとも特定の人に損害を与えようとする不正な目的を持っているかなどを重点的に審査することになる。

「真似た商標が登録拒絶になった事例」

「事例1」
項目 出願商標(真似) 登録商標
商標 アリママ(アリママ) アリババ(アリババ)
業種 百貨店業、スーパーマーケット業 輸出入業務代行業など
「事例2」
項目 出願商標(真似) 登録商標
商標 スターパックスコーヒー スターバックスコーヒー
業種 加工されたコーヒーなど コーヒー、コーヒー飲料
「事例3」
項目 出願商標(真似) 登録商標
商標 グキ
(グキ)
グッチ
業種 衣類、ゴルフウェア 鞄、衣類など
「事例4」
項目 出願商標(真似) 登録商標
商標 foxin facebook
業種 男性用および女性用靴 コンピューターおよびコミュニケーション
ネットワークを通じて靴仲介業など

特許庁の商標デザイン審査局長は、「商標は商品の出所を表して商標権者はもちろん、一般消費者の権利も保護する役割を果たしているため、真似た商標を審査する際には、厳格な判断基準を適用している」とし、「2021年は真似た商標の登録拒絶件数が増えており、出願する際に注意する必要がある」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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