知的財産ニュース 第四次産業革命と技術覇権競争の時代に備えるために、「技術・知的財産(IP)の価値評価」システムを大幅に改善する

2021年8月20日
出所: 韓国特許庁


  • 価値評価の基盤作り:「発明振興法」・「技術移転法」の改正を通じて、技術・IP価値評価の法的根拠を明確にする。
  • 技術・産業財産権:実績が不十分な評価機関に対する点検・管理を強化し、価値評価の分野における「民間資格運営のガイドライン」を制定する。
  • コンテンツ・美術品:音楽、コンサートまで、コンテンツの価値評価サービスにおける対象を拡大し、美術品に関する科学的な鑑定を開発するとともに人材育成を支援する。
  • 部処との協業体系:部処別に散在している「価値評価DB」の相互連携を推進する。

政府は関係部処の連携により、「第四次産業革命時代における技術・知的財産(IP)価値評価の活性化策」を作成し、第212回政府業務評価委員会に報告・確定したと発表した。

※政府業務評価委員会は、多数の部処と関わっているか、または社会的波及効果が大きい懸案における改善策を確定し、部処別の履行状況を点検・確認している。

今回の方策は、企業のイノベーションと成長および速やかな技術開発の基盤となる技術・知的財産(IP)の移転・取引を活性化するためには、「正確かつ信頼できる評価制度を定着」する必要があるという問題意識から推進された。

第四次産業革命の拡大により、技術・ノウハウのような無形資産の重要性はますます高まっており(※)、それに歩調を合わせる韓国企業のイノベーションと成長、先端技術の開発を支援するためには、技術移転・取引を活性化しなければならない。

※S&P500企業における無形資産の割合:17%(1975年)→68%(1995年)→84%(2015年)→90%(2020年)(Ocean Tomo「Annual Study of Intangible Asset Market Value」、2020年)

技術・IP移転・取引活性化の前提条件である「正確かつ信頼できる価値評価」が十分に定着されておらず、技術の移転・取引は滞っている(※)状況である。

※公共研究機関による技術移転の推移:1万2,357件(2016年)→1万2,503件(2017年)→1万1,002件(2018)→1万1,676件(2019年)
※技術移転率(技術移転の件数/新規確保技術の件数):38%(2016年)→37.9%(2017年)→34.3%(2018年)→35.9%(2019年)

国務調整室が主管し、産業通商資源部、文化体育観光部、特許庁などの関係部処による協議を通じて設けられた「第四次産業革命時代における技術・知的財産(IP)価値評価の活性化策」の主な内容は次のとおりである。

1.価値評価の基盤作り:技術・IPに対する価値評価制度の定着と高度化に向けて、技術・IP価値評価の法的根拠を明確にする。

技術・IP価値評価制度は、不動産を中心とした鑑定評価制度とは別に発展してきたが、評価機関の評価活動および評価結果に対する法的基盤の不確実性(※)のため、制度を定着させるのが困難であった。

※「発明振興法」には、価値評価の根拠、現物出資の証明(商法第299条の2)の特例などに不備があり、「鑑定評価法」は、産業財産権における経済的な価値の判定などを鑑定評価法人などの業務に規定している。

  • 「技術・IP価値評価」の法的根拠を明確にする方向に、「発明振興法」・「技術移転法」の改正を推進する。

2.技術・IP価値評価の専門性強化:実績が不十分である評価機関と多数の機関により同様の名称で運営されている民間資格制度の管理を強化することで、技術・IPの価値評価の専門性をより一層向上します。

一部の機関は、評価実績の基準を満たしていないなど、技術評価機関に対する管理が不十分であり、それに関する民間資格においては資格発行の要件としての短期トレーニング(※)のみを要求するなど、専門性の強化に苦労している。

※多数の民間資格の運営機関では、7日前後の教育訓練・資格検定を経て資格を発行

  • 技術評価の実績が不足している機関が評価活動を充実にするために、機関別の評価実績および能力に対する点検および管理を強化する。
  • 専門性のある民間資格の運営を支援するために、「資格制度運営のガイドライン」(※)を制定する。
    ※対象/細部内容:技術価値評価に関わる民間資格の運営機関/資格制度の運営状況を報告する義務、教育訓練の情報を提供する義務、試験科目の構成基準などを摘示

3.コンテンツ・美術品における価値評価能力の強化:急速に拡大しているコンテンツ、美術品などにおける文化産業の成長を後押しするために、公正かつ専門的な価値評価制度の定着を支援する。

コンテンツの価値評価機関は公共分野に限定(コンテンツ価値評価センター)されており、美術品を鑑定・評価する際に鑑定の根拠が十分提示されていないなどの課題があり、文化産業における価値評価の能力を向上しなければならない状況である。

  • そこで、音楽、コンサートなどの新しいジャンルに対する評価サービスの提供を拡大(※)し、民間資格の新設支援などを検討・推進する。
    ※「既存」映画、ゲーム、ミュージカルなどの6分野→「改善」音楽、コンサートなどに拡大
  • 美術品の鑑定における科学的分析手法の研究・開発を活性化し、鑑定・価値評価の専門人材の育成などを積極的に支援する。

4.価値評価の協業体系を構築:不必要な価値評価活動の重複を防止し、評価結果DBの蓄積および活用度の向上のために、関係部処(評価機関)との協業体制を構築・強化する。

機関別の評価項目が類似にも関わらず、資金調達、公共調達などでは、特定の機関の評価結果のみを有意な評価結果として認めており、部処ごとに価値評価DBを管理しているため、評価結果の蓄積・活用が低迷している状況である。

  • 評価機関間の「評価結果を相互に代替して活用する基盤」を構築し、部処別に散在している「価値評価DB」の相互連携を推進する。
    • 機関別の専門分野における評価モデルの発掘および共有
    • 機関間の評価ノウハウの共有

国務調整室では、「第四次産業革命時代における技術・知的財産(IP)価値評価の活性化策」が支障なく履行できるよう、改善策における部処別の詳細な推進状況を半期ごとに点検し、政府の業務評価の結果に反映するなど事後管理を徹底する予定である。

「主な改善内容」

(1)法的基盤作り

  • 現行:技術・IP価値評価における専門家の不明確な法的地位
  • 改善:「技術・IP価値評価」の法的根拠を明確にするために、「発明振興法」・「技術移転法」を改正(産業通商資源部・特許庁、〜2021年下半期)

(2)IP評価機関などの専門性強化

  • 現行:形式的な評価機関の管理および類似名称の民間資格の乱立などにより価値評価の品質低下が懸念される
  • 改善:実績が不十分な評価機関に対する点検・管理を強化(産業通商資源部・特許庁など、直ちに)/民間資格運営のガイドラインを制定(産業通商資源部、〜2021年下半期)

(3)コンテンツ・美術品における評価能力の強化

  • 現行:価値評価のニーズに応えられない公共価値評価サービス/客観的な鑑定根拠の提示が不十分である美術品鑑定の実態
  • 改善:評価サービスの対象分野を拡大するなど、公共評価機関の能力強化/科学的な鑑定手法を研究・開発し、人材育成を支援(文化体育観光部、〜2022年上半期)

(4)機関間の協業体系を構築

  • 現行:部処ごとに評価DBが散在しており、評価結果の蓄積・活用が低迷
  • 改善:関連部処間の「価値評価DB」における相互連携を推進(特許庁主管、〜2021年下半期)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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