知的財産ニュース 国際特許出願、インターネットウェブ(web)出願方式に一元化

2021年8月11日
出所: 韓国特許庁

2022年7月から従前の電子出願ソフトウェアの更新終了

世界知的所有権機構(WIPO)、特許協力条約(PCT)の相談専門家を2021年の年度内にソウルに配置することに

今後(2022年7月)、特許協力条約(PCT※)を通じた国際特許出願は、世界知的所有権機構(WIPO)ウェブサイト 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで直接出願書を作成して提出する「インターネットウェブ出願(ePCT)」方式に一元化」となる見通しである。

※(Patent Cooperation Treaty)複数の国に各々特許出願する不便を解消するために締結した国際条約であり、一回の出願で多数の加盟国に直接出願する効果を付与
※※但し、PCTを介せず個別国に直接出願する場合は該当国の支援方式を使用

これまでPCT出願人は2通りの電子出願方式を使用してきた。WIPOが提供する電子出願ソフトウェア(PCT-SAFE※)を活用して提出、またはWIPOウェブサイト(ePCT※※)にアクセスして出願書類を作成して提出する方式である。

※(PCT-Secure Applications Filed Electronically)PC設置用PCT出願書作成ソフトウェア(2004年に導入)
※※(ePCT、世界知的所有権機構(WIPO)ウェブサイト 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)ウェブ環境で直接PCT出願書を作成・提出(2017年に導入)

このうち、電子出願ソフトウェア方式は、ユーザーがソフトウェアを設置して周期的に更新しなければならない不便があった。

その反面、インターネットウェブ出願は、最新の改正法律・制度や改善機能がリアルタイムで反映され、ウェブ画面でダイレクトに出願書の提出が可能であることがメリットで、これにより使用率が継続的に増加※している。

※ePCTの平均使用率:(2017年)1%→(2018年)6.5%→(2019年)27.8%→(2020年)38.2%→(2021年7月)53.2%

ユーザー利便性と出願システム運営の効率化のためにWIPOがインターネットウェブ出願方式に統一することに決定したため、2022年7月から既存の電子出願ソフトウェアに対する更新を中止したと韓国特許庁の関係者が説明した。

韓国特許庁は、既存ソフトウェアの使用に慣れている国内のユーザーがウェブ出願方式に早期に適応できるようにWIPOと特別プログラムの導入に合意した。

WIPOで直接韓国人のePCT専門家を採用して韓国のユーザーだけのためのインターネットウェブ出願使用方法の案内、PCT関連の法制度の変更事項についての教育などのサービスを専担して支援することにしたのである。

勤務地もユーザーが多いソウル江南所在の韓国特許庁ソウル事務所に設け、採用手続きが迅速に行われた場合、早ければ11月から相談業務に投入される予定であると特許庁は発表した。

これまで国内のインターネットウェブ出願ユーザーは疑問事項があっても時差や言語障壁のためにスイスジュネーブにあるWIPO顧客センターの利用に非常に困っている。

今後はソウル事務所に勤務する韓国人専門家に業務時間中にいつでも便利に韓国語でWIPOウェブサイトを含むPCT出願全般にわたり簡単に相談できるようになる。

特許庁情報顧客支援局長は、「WIPOがソフトウェア更新終了の決定と同時にインターネットウェブ出願方式の使用国の中で唯一韓国に相談専門家を配置することにしたのは、PCT主要パートナーとして韓国特許庁と出願人の地位を高く評価したものである」とし、既存のソフトウェアユーザーがより早くインターネットウェブ出願方式に適応できるようにユーザー教育や機能改善などのためのWIPOとの協力にも万全を期する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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