知的財産ニュース ディスプレイに進化する車両のフロントガラス

2021年7月26日
出所: 韓国特許庁

ヘッドアップディスプレイに関する特許出願が活発

本格的に自律走行技術が開発されるようになり、車両のフロントガラスを活用したディスプレイ技術に対する期待感も高まっている。今後、自律走行技術が高まれば、運転者は車両のフロントガラスを広い画面として活用して、周辺のグルメや観光情報を取り入れ、映画やゲームを楽しむことができるようになる。これを可能にする技術が「ヘッドアップディスプレイ」である。

車両のフロントガラスが進化している。道案内のみならず映画やゲームなど、車載用ヘッドアップディスプレイ機能が拡大されることが期待されるようになり、関連の特許出願も活発になっている。

韓国特許庁によると、車載用ヘッドアップディスプレイに関する特許出願は、2011年27件から2020年102件へと、年平均14%増加している。

出願人別に見ると、大企業が49%(434件)を占めて出願を主導していて、中小企業13.5%(114件)、大学及び研究所6.7%(60件)の順である。

また、韓国国内の自動車生産関連業界である現代モービス(93件)、現代自動車(80件)、現代オートロン(71件)が技術開発を積極的に推進していることも分かった。

最近では、LG電子(57件)、サムスン電子(36件)、LGイノテック(17件)、SKテレコム(17件)など、電子・通信業界の特許出願も相次いでいる。

技術別に見ると、映像品質向上に関する技術が最も大きい割合(412件、47%)を占めている。

続いて、装置を小型化する技術や部品の性能低下を防ぐ技術(155件、18%)、周辺環境を検知する技術(127件、14%)、運転者の動き・視線・音声を利用した映像制御技術(79件、9%)なども多く出願されている。

最近は2次元映像以外にも、ホログラムを利用した3次元映像を表示するデジタルホログラムも開発されている。

臨場感が高く、小さい空間でもより大きい映像が提供できるという強みを持っているため、関連特許の出願はだんだん増える見込みである。

「ヘッドアップディスプレイ市場の展望」

ヘッドアップディスプレイとは、光学装置から作られた映像を車両のフロントガラスに表示して運転者に情報を提供することである。航空機には1960年代、韓国国内の高級車両には2010年代に初めて導入され、現在は一般車両にも普及している。

2020年13億ドルだった市場規模は、2025年には46億ドル(年平均28.5%成長)になる見込み(※)である。

※出所:MarketsandMarkets,2021年

市場規模の成長に伴い、拡張現実(AR)を活用したヘッドアップディスプレイ(HUD)に対する韓国国内企業の投資・開発も拡大されている。

現代モービスはデジタルホログラム専門企業であるイギリスのエンビシックスに投資規模を拡大し(2020年10月)、ホログラムを基盤としたAR HUD技術協力を推進している。

LG電子は、フォルクスワーゲンと共に初めて、電気スポーツユーティリティビークル(SUV)に適用されるAR HUD技術を開発(2020年12月)した。

韓国特許庁は、「電気自動車、自律走行車などの先端自動車産業の成長に伴い、ヘッドアップディスプレイに関する特許出願の増加が見込まれる」とし、「走行環境により映像の明るさや位置を自動調節できるようになることが、今後のヘッドアップディスプレイの競争力を決める重要な要因になると考える」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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