知的財産ニュース 特許審判をより迅速・正確に解決します

2021年7月26日
出所: 韓国特許庁

調停および適時提出主義の制度を導入、審判支援人員の根拠を設けるための「特許法」改正

特許審判段階の紛争を迅速に解決し、最先端技術に対する特許審判の正確性を向上するために特許法、商標法、デザイン保護法、発明振興法が改正され、7月23日に国会本会議で通過された。

今回の改正により、特許審判の段階でも当事者間の合意を通じて審判を終結することができるように調停制度が導入され、適時提出主義の制度を導入することで、審判の初期段階で当事者が集中的に主張や証拠提出を行うよう促すことができるようになる。

また、最近、新たな最先端技術の登場による審判専門性を強化するために、これらの技術を専門的に調査・研究する審判支援人員を配置できる根拠を設けた。

具体的にみると、第一に特許審判段階に調停制度を導入し、審判中に審判長により調停が必要であると認められた場合には、その審判事件を産業財産権紛争調停委員会に回付することができる。調停委員会に回付された審判事件は、回付された日から3ヵ月以内に両当事者の合意によって、速やかに終結することができるようになる。

審判請求→審理進行→調停必要→当事者同意(審判長が口頭審理の際に調停回付への意思を確認)、同意した場合→委員会回付、調停成立した場合→終結又は取り下げ、調停不成立の場合→審理再開→審決、回付後、成立有無の決定まで3ヵ月かかる。

第二に、適時提出主義制度の導入により、特許審判の当事者は本人の主張や証拠を適切な時期に提出しなければならなくなる。今後、故意または重大な過失で審判長が要求する時期より主張や証拠の提出が遅れた場合、審理に反映されないという不利益を受けることになる。

※法院も2002年民事訴訟法改正により、適時提出主義を適用

最後に、最先端技術の発達につれ、それに関連する専門家を該当の審判事件を支援する人員として配置できるように根拠を設けることで、技術変化による専門性を高める基盤を整えられるようになった。

特許審判院長は、「特許審判関連の法律改正案が今回国会で通過され、特許審判をより迅速・正確に解決できる基盤が整った」とし、「今回導入された制度が支障なく施行・定着することで、特許審判院が国民にもっと良い特許紛争機関として親密感を持たせるように努力する」と述べた。

「添付1」審判・調停連携制度関連の改正法(2021年7月23日に本会議通過)

改正背景

  • 訴訟中心の知財権紛争を解決するためには、高費用・長時間がかかり、中小企業などに大きな負担になるため、審判段階で調停制度を活用する必要がある。
  • しかし、現在は制度間の連携が無く紛争当事者の申請により産業財産権紛争調停委員会(以下、「調停委員会」)の調停手続きが行われている。
  • そこで、審判長が必要であると判断した場合、審判事件を両当事者の同意を得て調停委員会に回付できる根拠を設けようとするものである。

改正の主要内容

  • 審判事件およびその記録を調停委員会に回付
分野 審判事件の回付 審判記録の回付
特許法 第164条の2 第217条第1項第1号の2
商標法 第151条の2 第216条第1項第1号の2
デザイン保護法 第152条の2 第207条第1項第1号の2

審判官合議体の一部が調停委員会に参加(発明振興法第49条の3)

申請者は調停申請書作成。紛争調停委員会では、調停申請書受付→出席要請書→答弁書受付→調停部構成→調停会議開催(和解勧告) →調停調書作成→紛争解決。非申請者は出生器要請書受付→答弁書作成。約3ヵ月かかる。

「添付2」適時提出主義関連の改正法(2021年7月23日に本会議通過)

改正背景

  • 審判手続きにおいて主張・証拠の提出時期に制限がないため、審理が遅れる問題が頻繁に発生している。
    紛争期間が長期化するほど資金力の足りない中小・ベンチャー企業に不利なため、改善する必要がある。
  • そこで審判長が新しい主張・証拠の提出時期を定め、提出が遅れた証拠などは却下できる法的根拠を設けようとするものである。

改正の主要内容

  • 民事訴訟法の適時提出主義の規定(第146条、第147条および第149条)を準用し、提出期限を決めるとともに、提出が遅れた場合には却下。(特許法第158条の2、商標法第145条の2、デザイン保護法第146条の2)

「添付3」審判支援人員関連の改正法(2021年7月23日に本会議通過)

改正背景

  • 韓国の審判官は1人当たり処理する物量が海外に比べて過多しており、特許無効審判などをより充実に審理して特許の信頼性を高める必要がある。
    ※審判官1人当たりの処理件数(特許・実用)(2019年):韓国96件、米国33件、日本26件、欧州18件
  • 法院と他の行政審判機関も法官と審判官を支援するために調査官、裁判研究員、裁判研究官のような支援人員を運営している。
  • そこで、特許審判院にも審判官を支援し審判事件に対する調査・研究業務を遂行する支援人員を配置するように根拠を設ける必要がある。

改正の主要内容

  • 特許審判院に審判支援人員を置くために根拠を確立する。(特許法第132条の16第3項)

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