知的財産ニュース 半導体精度を決める重要素材「研磨剤」、韓国企業の勢いが強い

2021年6月28日
出所: 韓国特許庁

半導体の研磨剤分野における韓国企業の特許出願が活発

  • 人工知能、自律走行自動車など、システム半導体を必要とする第四次産業技術の著しい成長に伴い、NAND型フラッシュメモリが本格的に生産されて半導体への需要が急増したため、半導体の素材技術も注目されている。
  • 半導体研磨剤のCMPスラリー(※)は、代表的な半導体の素材技術である。米国と日本のグローバル企業が気勢を上げているが、韓国企業の特許出願も着実に増加している。
半導体素子は多数の薄い膜が積層されており、精度を高めるためには、膜が形成されるたびに研磨剤とパッドを利用して、粗い面を平坦化する工程を行う必要がある。それをCMP工程(※)といい、その際に使用される研磨剤がCMPスラリーである。
※CMP(Chemical Mechanical Polishing):化学機械研磨

韓国特許庁によると、CMPスラリーに関する特許出願は、2009年87件から2018年131件に年平均4.7%増加した。

このうち、韓国人の出願増加率は6.1%で、外国人の出願増加率(3.6%)を上回り、韓国人の出願シェアは、2009年39.1%から2018年44.3%に5.2%増加した。

これは、韓国でシェアの高いグローバル企業が特許紛争などの理由で特許出願件数が停滞しているうちに、韓国企業がCMPスラリーの国産化の割合を拡大するために地道に取り組んできた結果であると思われる。

ここ10年間(2009~2018年)CMPスラリー分野における出願人のうち1位は、KCTechが占めており(件数、シェア:164件、16.3%)、グローバル企業のフジミ(124件、12.4%)、日立(85件、8.5%)、キャボット(83件、8.3%)の順で並んでいる。その他、サムスン(※)(70件、7.0%)、ソウルブレイン(53件、5.3%)、LG(25件、2.5%)が10位以内に含まれている。

※サムスンはサムスン電子、サムスンSDI、サムスンディスプレイの出願件数を合算

特に韓国の中堅企業であるKCTechとソウルブレインが活発に特許出願を行っており、CMPスラリー分野において、韓国人の特許出願件数の増加をけん引していることは注目すべきである。

細部技術別に見ると、シリコン絶縁膜のスラリーに関する出願(36.4%、365件)が最も多く、銅、タングステンなどの金属膜のスラリーに関する出願(28.9%、290件)、研磨粒子に関連する出願(20.1%、202件)、有機膜、相変化膜など、特殊膜のスラリーに関連する出願(7.5%、75件)の順で出願されている。

出願人を類型別に見ると、外国企業が61.2%(614件)、韓国企業が37.5%(377件)で、韓国内外の企業が特許出願を主導しており、その他、韓国の大学1.0%(10件)、韓国の研究所0.2%(2件)、外国の大学0.1%(1件)で低い割合を占めている。

特許庁の有機化学審査課の審査官は、「韓国企業の積極的な特許出願により、CMPスラリーの国産化が拡大することを期待している」とし、「半導体の微細化、高集積化が進んでおり、そのようなニーズに応えるCMPスラリーの技術開発は、これからも重要性が増していくと思っている」述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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