知的財産ニュース 五庁長官会合を開催
2021年6月24日
出所: 韓国特許庁
人工知能など先端技術分野における特許審査の統一化を推進、出願人の利便性向上を期待
6月23日(水曜)20時に政府大田庁舎で、テレビ会議形式のIP5庁長会議が開催された。五庁(IP5(※))は、人工知能(AI)などデジタル技術の急速な発展に先行対応し、効率的な特許審査サービスの提供に向けた先端技術(NET(※※)/AI)の協力ロードマップを承認する内容を骨子とする共同声明を採択した。
※IP5(Intellectual Property 5):世界の特許出願の約85%を占める米国・中国・欧州・韓国・日本で構成された5ヵ国特許庁の枠組みであり、2007年発足※※New Emerging Technologies:AI、ビッグデータ、ブロックチェーンなど、第四次産業革命に関わる先端技術
2021年で14回目を迎える今回の長官会合には、韓国をはじめとする米国(長官代行)、中国、日本、欧州の特許庁長官が参加し、WIPOの事務局次長も参観した。
先端技術(NET/AI)の協力ロードマップは、2019年に韓国とヨーロッパが共同で主導し、先端技術のタスクフォースを立ち上げてから2年後に五庁の合意によって生み出された成果という点で意味深い。
今回合意したロードマップには、AIなど先端技術分野の発明に対する特許審査制度の統一性向上、先端技術を活用した審査サービスの改善、先端技術分野における先行技術検索の効率性向上、先端技術に関連する動向の共有という4分野の協力計画が含まれている。
項目 | 内容 |
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(1)法的側面:特許審査制度の統一性向上 |
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(2)情報化側面:審査サービスの改善 |
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(3)分類:先行技術検索効率の向上 |
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(4)統計:先端技術動向の共有 |
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またIP5の長官らは、特許譲渡制度の統一化、特許明細書と一緒に提出する図面様式の統一化など、出願人の利便性向上に向けた新規課題の実施にも合意した。
特に「特許譲渡制度の統一化」の課題は、韓国企業(出願人)による海外企業の買収・合併において、特許に関わる権利が同時に移転される場合、五庁に同様の書類を提出できるようにすることであり、課題を完遂すれば、企業の買収・合併手続きの簡素化に大きく貢献できると期待される。
五庁長官会合の前日である6月22日に開催された、「IP5長官および産業界代表の連席会議」では、先端技術のタスクフォースおよび特許制度の調和における議論の成果を共有され、「パンデミック以降におけるIP5の協力」をテーマにした自由討議が行われた。
会議に参加した産業界の代表らは、パンデミックで苦労している企業と出願人のために手数料減免などの救済措置を設けたIP5に感謝を表するとともに、出願人と審査官との非対面コミュニケーション強化を要請し、韓国特許庁は、パンデミックが始まった後に導入した在外者向けの電子署名制度(※)、改善された映像口頭審理・面談制度(※※)などを紹介した。
※国内に住所を置いていない在外者は、代理人委任状、公正証書など、提出者の署名が必要な書類を提出する際に電子署名に代わることができる制度
※※出願人が口頭審理や面談をするために、特許庁ソウル事務所など指定された場所に行かなければならなかった既存の制度を代理人のオフィスや自宅でも利用できるように改善
今回の会議に参加した韓国特許庁は、「新型コロナウイルスのパンデミックにより、人工知能・ビッグデータなど先端技術分野における五庁間協力の必要性がさらに重要になった」とし、「パンデミック以降の経済が早く回復できるよう、イノベーション技術に対する高品質の審査サービスを提供し、先端技術を活用した非対面サービスを活性化するために、五庁間協力を強化していくつもりである」と強調した。
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