知的財産ニュース 有機発光ダイオード(OLED)の最強者K-ディスプレイ、世界の特許出願をリードする

2021年6月14日
出所: 韓国特許庁

OLEDを駆動するコア技術の特許出願、韓国が1位

  • より鮮明で均一な画質、より長い寿命など、高性能のOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイへのニーズが急速に高まっている。これらの高性能OLEDディスプレイを実現するために、OLED発光素子と同様に重要なものが、それを駆動する回路技術である。

特にOLED駆動に重要な技術の一つである「補償と補正」は、画素間の特性ばらつきを低減し、劣化(※)を防止することで寿命を延ばす技術であり、最近OLEDディスプレイの画素数が急増したため、以前より重要なコア技術として注目されている。

※劣化:絶縁体が外部または内部の影響のため、化学的・物理的性質が劣る現象

韓国特許庁によると、IP5(日米欧中韓)の特許動向調査(2011~2020年)の結果、OLEDディスプレイ駆動のコア技術である補償および補正技術に関連する特許出願において、韓国が1位を占めていることが分かった。

国別で出願人を調査した結果、韓国が圧倒的な1位(5,384件、43%)であり、中国2位(3,273件、26%)、日本3位(2,433件、20%)、米国4位(567件、5%)であった。

多出願企業を見ると、サムスン1位(2,786件)、LG2位(2,412件)で、韓国企業が世界の特許出願を主導している。

中国のディスプレイパネルメーカーであるBOE(※)(1,676件)が3位、日本の研究開発企業の半導体エネルギー研究所(SEL(※※)、907件)が4位を占めた。

※BOE:BEIJING ORIENTAL ELECTRONICS(2001年BOE TECHNOLOGY Groupに社名変更)
※※SEL:SEMICONDUCTOR ENERGY LAB

各国の特許庁に登録された特許においても、韓国人が登録した特許(4,044件)が最も多く、日本2位(3,533件)、中国(2,061件)、米国(628件)の順であった。

年度別の動向を見ると、2010年代の前半(2011~2015年)は日本が先導していたが、2016年に韓国が日本を追い越した後、1位を維持している。

また2017年は、中国が日本を追い越し、登録特許の順位が韓国、中国、日本の順に変わった。

特許庁のディスプレイ審査課の審査官は、「最近、高画質のOLEDディスプレイは、画素数が幾何級数的に増加しつつ、特性を均一化し、寿命を延ばす駆動回路の技術がその重要性を増している」とし、「ディスプレイの技術競争において、現在の優位を継続的に維持するためには、OLED駆動のコア技術に対する特許権を確保していくことが重要である」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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