知的財産ニュース 自律走行に伴い、新しく変わるカーシート

2021年6月10日
出所: 韓国特許庁

安全性を超えて、リラックス・業務・健康まで考えたカーシートの特許出願が活発

未来の自動車は、自律走行技術に支えられて「動くオフィス」、「道路上のショッピングモール」のような生活空間に変化すると見込まれており、車内空間を最適化するためのカーシート技術に関する特許出願割合が高まっている。(注1)

自律走行技術が発展すると、運転者が安全運転に時間をかける代わりに、搭乗者間との会話・動画視聴などをする余暇時間を過ごし、業務も処理できるようになる。

搭乗者が車内部での活動に満足するためには、優先的に内部構造を変えなければならず、車内空間の大部分を占めるカーシートの変化は不可欠である。

特に新型コロナウイルスの流行による社会的距離の確保のため、旅行もできる、いわゆる「車中泊」の人気が高まっており、カーシートの技術は、車内空間の変化においてその重要性を増している。

韓国特許庁によると、カーシート技術に関する特許出願は、ここ10年間(2011~2020年)年平均188件で、着実に出願されていることが分かかった。

細分化してみると、安全などの機能向上に関するカーシートの出願1,576件(84%)、車内空間を活用するカーシートの出願291件(15%)、搭乗者の身体を診断する健康管理関連カーシートの出願17件(1%)の順で調査された。

出願人別の割合は、大企業が31.7%と最も高く、中堅企業27.9%、外国人17.0%、中小企業11.0%、個人9.1%、大学・研究所等3.3%の順で、大企業がカーシート関連技術をリードしている。

カーシート技術における最近の大きな変化は、車内で休憩や、会議をするなど、車を休憩・業務空間として活用するための特許出願が2018年から急増(※)し始めたことである。

※空間活用に関するカーシート出願(平均)の推移:2011~2017年(21件)→2018~2020年(47件)

また、搭乗者の身体を感知し、その情報を利用して安眠を誘導するようにシートの角度を調節し、緊急時に救護措置を取ることができるという、健康管理機能と融合されるなど、カーシート技術の多様化が進んでいる。

このようなカーシート技術の多変化は、自動車が単なる移動手段を越えて、搭乗者の休憩・業務・健康など、さまざまなニーズに合わせた生活空間に変化しているためであると分析される。

特許庁の審査官は、「これから迎える自律走行時代において、以前は安全運転に集中していた時間をより生産的に活用できるよう、車内空間を多様化するカーシート技術における特許出願の割合がより高まると予想している」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195