知的財産ニュース 第1四半期の商標出願件数、過去最大!

2021年6月7日
出所: 韓国特許庁

第1四半期韓国内の商標出願件数が前年同期に比べて22.4%増加し、過去最大を記録

韓国特許庁は、2021年第1四半期の商標出願件数が過去最大を記録したと発表した。韓国内の商標出願件数は、第1四半期8万576件で、前年同期(6万5,826件)に比べて22.4%増加した。

2018年以降続いてきた商標出願件数の増加傾向が反映されたものであり、新型コロナウイルスのパンデミックにも関わらず、2020年の商標出願は、前年に比べて10.9%増加し、持続的な増加傾向を見せている。

世界中における商標の出願は持続的に増加しており、2020年にも日本を除いた米国・中国などの主な多出願国の出願件数は前年に比べて増加した。

「4ヵ国における商標出願の傾向」

2016年から2020まで、欧州は369,676→371,474→392,925→411,026→438,513、日本は451,138→560,265→512,156→511,270→382,567、韓国は231,800→230,476→263,976→288,384→319,820、米国は545,260→613,895→640,181→738,112に変化
「増減率(%)の比較」
国名 2016 2017 2018 2019 2020
中国 28.9 55.2 28.3 6.4 19.3
欧州 0.9 0.5 5.8 4.6 6.7
日本 30.8 24.2 -8.6 -0.2 -25.2
韓国 -1.8 -0.6 14.5 9.2 10.9
米国 5.4 12.6 4.3 5.3 9.5
  • 2016~2019年の各国の出願件数は、WIPO Indicator参照、2020年の各国の出願件数(分類別)は、各国の特許庁ウェブサイトで確認

出願件数が最も多い分類は、35類(インターネット/モバイルショッピングモール業など)であり、前年同期に比べて3,349件増加し、34.9%の増加率を見せた。デジタル・非対面経済の成長によりオンライン事業者が増加し、35類の出願に反映されているためであると見て取れる。

  • オンライン事業者は、通信販売業で事業者登録をするが、ここ5年間、持続的に増加しており、特に2020年は前年比30%以上増加したことが分かった。

「ここ5年間における通信販売業事業者数と35類の出願件数(国内商標)」

通信販売業事業者数(注1)
項目 2016 2017 2018 2019 2020
通信販売業事業者数 170,428 192,873(13.1) 218,616(13.3) 271,383(24.1) 356,776(31.4)
35類出願(国内商標) 23,868 23,760(▲0.5) 33,499(41) 36,627(9.3) 43,908(19.9)

※括弧の中は増減率(%)、出願件数は受付日基準

通信販売事業者数と35類出願件数は、2016年から2020年まで徐々に増加している。

また、ここ5年間のサービス業分野における出願増加率(5年平均12.1%)が商品分野の出願増加率(5年平均7.7%)より高く、これはサービス業事業体数が毎年増加しているためであると解釈される。

「サービス業事業者数(注2)および出願件数比較(2015~2019年)」

サービス業事業者数(注2)
項目 2015 2016 2017 2018 2019
サービス業事業体数(万個) 275 280(1.82) 286(2.14) 292(2.1) 298(1.9)
サービス業出願件数 82,785 77,823(▲5.99) 78,903(1.39) 97,386(23.42) 104,604(7.41)

※括弧の中は増減率(%)、出願件数は受付日基準

サービス業事業体数とサービス業出願件数は、2015年から2019年まで徐々に増加している。

一方、国民の商標制度に対する認識が高まったことも出願増加に影響を及ぼしたものと見られる。

2019年、「ペンス」の模倣出願事例と歌手「ソン・ガイン氏」の事例、浦項「ドプジュク」の事例など第三者による模倣出願のイシューが数回発生し、このような事例が国民に頻繁に報道され、自然に商標出願の重要性と商標制度について認識できるようになったと思われる。

特許庁の商標デザイン審査局長は、「商標出願の件数が過去最大の増加傾向を見せている状況の中で、特許庁は、正確な審査処理のために最善を尽くしている」とし、「このような出願件数の増加傾向が続くと思っており、本人が希望する商標を登録するためには、事業の準備段階で予め商標を出願しておく必要がある」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195