知的財産ニュース 新型コロナウイルスを止める多機能商品の商標出願が増加

2021年5月20日
出所: 韓国特許庁

検温無人案内機(kiosk)、マスク、携帯用殺菌機などの商標出願が増加傾向

商標出願時に複合機能の商品は、主な用途と機能を考慮して記載

  • A氏は、PM2.5とウイルス、飛沫ブロックとともに空気清浄の機能を持つ電子マスクを開発して商標出願をしようとしている。出願書を作成しているうちに、商標を使う商品の名称をどう記載すべきか迷うようになった。
    空気清浄装置は、殺菌‧消毒機器に属する商品(11類)だが、PM2.5・ウイルスを遮断する製品は医療用に該当する商品(10類)であり、産業用の防塵マスクは防護用商品(9類)であるからである。

韓国特許庁は、デジタルトランスフォーメーション、新型コロナウイルスの影響により非対面産業が発達することによって、それに関連する商品の商標出願が徐々に増加しており、特に新型コロナウイルスに備える多機能やユニークなアイデアの新製品が続々と登場していると発表した。

※電子商取引/通信・放送業に関連する出願の推移:(2019年)7万7,095(10%)→(2020年)9万1,848(16.1%)

新型コロナウイルスに関連する電子製品・機器には、薬品(ワクチンなど)を保管するための「医療用冷却・冷蔵容器、薬品保管管理装置、医療用診断器具」、体温を測定するための「検温キオスク、顔認識機能の発熱検知閉回路テレビ、非対面発熱検知器(非医療用)、シール型の非接触体温計」があり、「携帯用消毒器、携帯用タンブラーのUV紫外線殺菌器、人体発熱検知器付きの手指消毒器」などの加熱・消毒製品に分類される指定商品の出願も増加している。

※医療機器・マスク(10類)商標出願の推移:(2019年)5,859件(16.9%)→(2020年)7,332件(25.1%)
※加熱・衛生装置(11類)商標出願の推移:(2019年)5,975件(19.3%)→(2020年)6,416件(6.9%)

特に、新型コロナ時代の必需品となったマスク類を見ると、さまざまな形と機能を持つアイデア商品の出願が目立つ。

ウイルス・PM2.5をブロックするマスクに使用者のニーズに合わせて機能を追加したマスクや、形を変えた「空気浄化機能付きの電子式マスク、口元が見える透明マスク、衛生フィルターを入れ替えるファッションマスク」がそれに該当する。

「マスクホルダー、耳の痛みを防ぐマスクバンド、口臭予防の香りシール、マスクケース」など、マスクの不便を解消する補助グッズの出願もまた注目すべきである。

その他、「非接触でボタンを押せるスティック、自動ドアの非接触無線スイッチ」など、接触を最小限にするための商品の出願もより多様化している。

一方、新型コロナウイルスのワクチン・治療薬に関する「新型コロナウイルスの治療用薬剤、ワクチン剤、診断用薬剤」などを指定商品にした「コヴィウィン(COVIWIN)、コヴィゼロ(COVIZERO)、コヴィカット(COVICUT)」などの商標が最初に登録(2021年4月2日)され、その他「SKYCOVID19、コヴィット19アイジー(COVID19 IG)、コヴィズマ(Covisma)、COVI、STOP COVID」などの商標が審査中である。

※薬剤(5類)商標出願の推移:(2019年)1万1,025件(13.4%)→(2020年)1万2,818件(16.3%)

このように、複合機能を持つ商品に関する出願が増加し、出願人の悩みも発生した。

商標を出願する際に、出願人は、本人が使用しようとする商標をどの商品に使用するか明確に記載しなければならないが、それの区分が難しいからである。

商品名称の選択が間違った場合、商標登録が遅れるか、拒絶される場合があるため、主な機能や用途を考慮して明確に記載しなければならない。

例えば、「空気清浄マスク」は、主な機能と属性によって「空気清浄機能付き衛生マスク」または「ウェアラブル空気清浄機」などに分類されるべきである。

また、用途が不明確な「透明マスク」を新製品の名称として出願することができず、「衛生用透明マスク、防護用透明マスク」などに用途を限定して記載しなければならない。

特許庁では、出願人が指定商品を記載する際に参照できるよう、特許情報検索サービス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます特許庁ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに「告示商品と誤りやすい不明確名称」のリストを案内している。

また、積極的な行政を進めるため、2021年上半期内に特許庁ウェブサイトに新規商品の名称提案コーナーを用意する予定である。

特許庁の商標審査政策課の事務官は、「新型コロナウイルスによる『新しい日常(new normal)』時代に非対面・非接触など、さまざまな機能が融合された商品が開発・出願されている」とし、「指定商品の名称または商品類を間違って記載する場合、登録が遅れる可能性があるため、商品名称を明確にして出願することが重要である」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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