知的財産ニュース 韓国、3大国際標準化機構に宣言した標準特許件数で世界1位

2021年5月10日
出所: 韓国特許庁

韓国、3大国際標準化機構(注1)に宣言した標準特許件数で世界1位(2016年5位)

世界5大標準化機構(注2)に宣言した標準特許件数で世界3位(2016年4位)

韓国特許庁は、2020年まで韓国が3大国際標準化機構(ISO、IEC、ITU)(注3)に申告した宣言標準特許が2016年519件(世界5位)に比べて約6.4倍増加した3,344件(23.5%)で、世界1位になったと発表した。

3大国際標準化機構に宣言した標準特許の現状(※)(2020年12月)
順位 国家 件数(累積) 割合
1 韓国 3,344 23.5%
2 米国 2,793 19.6%
3 フィンランド 2,579 18.1%
4 日本 1,939 13.6%
5 フランス 1,283 9.0%
6 ドイツ 575 4.1%
7 カナダ 320 2.3%
8 オランダ 271 1.9%
9 中国 257 1.8%
10 スウェーデン 232 1.6%
その他 639 4.5%
14,232 100%

※出所:韓国特許戦略開発院標準特許センター

韓国23.5%、米国19.6%、フィンランド18.1%、日本13.6%、フランス9.0%、ドイツ4.1%、カナダ2.3%、オランダ1.9%、中国1.8%、スウェーデン1.6%、その他4.5%

それに次いで米国が2,793件(19.6%)で2位を占め、フィンランドが2,579件(18.1%)で3位、日本が1,939件(13.6%)で4位、フランスが1,283件(9.0%)で5位になった。

3大国際標準化機構に申告した宣言標準特許を保有している機関(企業)別でみると、サムスン電子(韓国)が2,799件で1位を占めた。

その次にノキア(フィンランド)が2,559件で2位、トムソンライセンシング(フランス)が907件で3位、アップル(米国)が350件4位、韓国電子通信研究院(韓国)は251件で5位を占めた。

2020年に3大国際標準化機構に申告した宣言標準特許が急激に増加した理由は、2020年の下半期にサムスン電子がISO/IEC JTC1(注4)に映像コーデック(※)(VVC:Versatile Video Coding、EVC:Essential Video Coding)関連の特許2,500件余りを集中的に宣言したからである。

※映像の信号をデジタル信号に変換するコーダーとそれを逆変換するデコーダーの機能を兼備した技術

3大国際標準化機構(ISO、IEC、ITU)と事実上の主要標準化機構(※)であるIEEE(注5)とETS(注6)を含む世界5大標準化機構に2020年まで申告された宣言標準特許を見ると、米国が2万4,661件で1位、中国が2万1,805件で2位を占め、韓国は1万7,492件で3位(2016年には3,735件で4位)になった。

※事実上の標準化機構:公的標準を制定するための3つの公的標準化機構(ISO、IEC、ITU)の他、民間標準化団体、産業体、フォーラム、コンソーシアムなどにより事実上の標準を制定するために設立された標準化機構

世界5大標準化機構の宣言標準特許(※)現況(※※)(2020年12月)
順位 国家 件数(累積) 割合
1 米国 24,661 25.3%
2 中国 21,805 22.4%
3 韓国 17,492 18.0%
4 日本 10,738 11.0%
5 フィンランド 10,269 10.5%
6 スウェーデン 5,273 5.4%
7 フランス 1,637 1.7%
8 ドイツ 1,392 1.4%
9 台湾 1,107 1.1%
10 カナダ 1,010 1.0%
その他 2,003 2.1%
97,387

※ETSIの場合、宣言標準特許のうち代表特許のみ集計し、代表特許と内容が同一のパテントファミリーは非集計
※※出所:韓国特許戦略開発院標準特許センター

米国25.3%、中国22.4%、韓国18.0%、日本11.0%、フィンランド10.6%、スウェーデン5.4%、フランス1.7.%、ドイツ1.4%、台湾1.1%、カナダ1.0%、その他2.1%

世界5大標準化機構に申告された宣言標準特許を保有している機構(企業)別でみると、クアルコム(米国)が1万252件で1位を占め、ノキア(フィンランド)が10,215件で2位、ファーウェイ(中国)が9,037件で3位、サムスン電子(韓国)が8,719件で4位、LG電子(韓国)が6,648件で5位を占めた。

これまで政府は、科学技術情報通信部の「情報通信・放送規格開発支援事業」、産業通商資源部(国家技術標準院)の「国家標準技術力の向上事業」と特許庁の「標準特許創出支援事業」の相互連携により、標準特許の専門機関を育成して、R&D-標準化の課題を遂行する機関に標準特許の創出戦略を支援するなど、R&D-標準-特許連携による標準特許の競争力確保に力を注いできた。

標準特許とは

標準特許はエルティーイー(LTE)、第5世代移動通信システム(5G)、Wi-Fi、Bluetooth、MP3などのような標準技術を使用する製品を生産して販売するために、必ず使わなければならない特許をいう。
ただし、企業などが標準化機構の標準特許だと宣言するだけで、標準特許(SEP:Standard Essential Patent)になるわけではなく、宣言標準特許(declared SEP)が標準特許プールへの加入や特許訴訟などの過程における標準規格に整合するかを判断する標準特許の必須性検証で、標準規格と一致すると確認されてから、正式に標準特許として認められることになる。

特許庁の産業財産政策局長は「ここ5年間、韓国の宣言標準特許のランクが上がったのは(3大国際標準化機構5位→1位、世界5大標準化機構4位→3位)、韓国企業における標準特許の競争力が強化されたことを意味し、これは今後の技術貿易収支を改善する基盤になるという点で、有意義である」とし「R&D-標準-特許連携を強化し、高品質の標準特許を創出できるよう、持続的に支援する」と述べた。

宣言標準特許統計は、各種の標準化機構に宣言した標準特許情報を反映し、韓国特許戦略開発院の標準特許センターにより半期ごとに集計されており、主な標準化機構別の基本統計は、韓国特許戦略開発院の標準特許センターのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認することができる。

(注1)WTO加盟国が遵守すべき公的規格を制定するISO、IECおよび国連傘下の専門機構であるITUを含む
(注2)3大国際標準化機構の他、事実上の標準化機構であるETSI(LTE、5Gなどの移動通信)とIEEE(Wi-Fi、WiMAXなどの電気通信)を含む
(注3)ISO(International Organization for Standardization):国際標準化機構(電気・電子、情報通信を除く全分野を担当)、IEC(International Electrotechnical Commission):国際電気標準会議(電気・電子担当)、ITU(International Telecommunication Union):国際電気通信連合(ITU-Tが電気通信、ITU-Rが電波通信を担当)
(注4)ISO/IEC JTC1(ISO/IEC Joint Technical Committee1):ISOとIEC間の情報技術の国際標準化作業を合同で遂行・管理するために設立
(注5)IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers):電気・情報工学分野の学術研究団体(Wi-Fi、WiMAX、などのネットワークの標準化)
(注6)ETSI(European Telecommunications Standards Institute):欧州電気通信標準化機構(4G、5G移動通信などの欧州地域の電子通信の標準化)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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