知的財産ニュース 人工知能を用いた医療診断方法の特許出願が急増

2021年5月6日
出所: 韓国特許庁

人工知能、親の健康を守る!

  • 韓国で家庭の月と呼ばれる5月になると、故郷にいる親の健康が心配になる。新型コロナウイルスのため、頻繁に訪れられない状況だが、診断技術の進歩で遠くても健康ケアができる時代になっている。
  • 第四次産業革命技術が医療分野にも適用されることになり、人工知能を利用して疾病を診断し、予測する医療診断方法分野の特許出願が増えている。

韓国特許庁によると、人工知能を用いた医療診断方法の特許出願は、2015年以前は10件に過ぎなかったが、2016年19件に増え始めて、2017年46件、2018年108件、2019年145件、2020年270件が出願され、ここ5年間、年平均94%の増加傾向を見せている。

※人工知能を用いた医療診断方法は、診療記録や医療機器で測定した生体の測定情報、医療映像、遺伝情報など、さまざまなビッグデータを人工知能技術で分析して疾病を診断または予測する技術である。

世界中における遠隔医療市場の規模(※)は拡大しつつあり、新型コロナウイルスによる非対面診断および診療の需要が増えているため、それに関連する特許出願がさらに増えているためであると思われる。

※世界の遠隔医療市場の規模は、2021年412億ドル規模であると予想(出典:Statista)

出願人別では韓国国内の出願人が出願を主導しており、外国の出願人は6.7%に過ぎない。韓国国内の出願人の場合、医療の人工知能に関連する新興企業と大学の産業協力団がこの分野の特許出願をけん引していることが分かった。

具体的には、医療人工知能の新興企業273件(43.5%)、大学の産業協力団224件(35.7%)、個人46件(7.3%)、医療財団法人42件(6.7%)、研究所18件(2.9%)、病院15件(2.4%)、その他9件(1.4%)の順で出願したと調査された。

使われている医療データの種類別にみると、医療映像情報を活用した出願が153件(52.2%)で最も多く、臨床および診療データを使用した出願が84件(28.1%)、バイオマーカー関連の出願が35件(11.7%)、心電図情報利用に関する出願が20件(6.7%)、歩行情報利用に関する出願が6件(2.0%)であった。

医療映像情報データによる出願が多いのは、撮影装置が標準化されており、定型化されたデータ情報が生成できるため、人工知能を適用して疾病を診断するのに有利なためであると考えられる。

診断疾病に応じて分類してみると、がんを診断する場合が36件で最も多く、その次に認知症などの脳疾患32件、心臓疾患18件、眼疾患16件、口腔疾患15件、うつ病10件、その他の疾病76件で、韓国の大人がよくかかる疾病に関する出願が多いと分析される。

特許庁のバイオヘルスケア審査課の審査官は、「人工知能のような第四次産業革命技術が活発に医療分野に取り入れられている傾向である」とし「新型コロナウイルスによる社会の変化と高齢化が進んでいるため、非対面診断技術に関する特許出願がさらに活性化すると予測している」と述べた。

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