知的財産ニュース 人工知能、モノのインターネットによりPM2.5の測定技術は変化中

2021年5月3日
出所: 韓国特許庁

情報通信技術を融合した新たなPM2.5測定技術

人工知能、モノのインターネット、バイオテクノロジーを融合した特許出願がここ5年間で年平均30%増

  • コロナ禍による経済危機にもかかわらず、PM2.5に備える手段である低減設備と測定設備の市場は毎年10%以上の着実な成長傾向(注1)を見せている。特許出願の統計で分かるように、最近PM2.5の測定技術に対する韓国の研究開発が非常に活発である。
  • PM2.5の技術は大きく測定技術と低減技術に分けられる。測定技術はPM2.5を低減するための基礎技術として、高度の専門性と厳格な品質基準を要求しており、主要先進国を中心に技術開発が行われる高付加価値技術である。

韓国特許庁によると、PM2.5測定に関連する出願件数が、2010年8件から2019年212件に10年間で約20倍以上増加した。2020年もその増加傾向が続いている。

最近起きた最も大きな変化は、ここ5年間PM2.5測定技術にも人工知能、モノのインターネット、バイオテクノロジーなどの第四次産業革命技術を融合する傾向が明確になったことである。

実際に第四次産業革命技術を融合した特許出願は、2015年14件から2019年43件にここ5年間、年平均32%増加したと調査された。

特許庁が主要出願人を対象に、PM2.5測定技術の中核分野に対するアンケートを実施した結果をみても、将来の中核分野として(1)人工知能・ビッグデータを活用したPM2.5測定技術、(2)モノのインターネットを適用した室内外の空気質測定技術、(3)PM2.5と生物粒子の同時測定技術との融合を展望していることが分かる。

(1)人工知能・ビッグデータを活用したPM2.5測定技術:さまざまな人工知能のアルゴリズムと気象およびPM2.5測定情報のビッグデータを利用して、測定誤差を減らし、予測情報を提供する技術。

  • KR2140929B無人機を利用した気象観測システムとその方法、株式会社3S SOLUTION:PM2.5を含む高度別の気象観測を実施し、これをビッグデータサーバーに保存管理して正確な大気の研究に活用する。無人機(ドローン)、自動車などを利用してデータを収集。

(2)モノのインターネットを適用した室内外の空気質測定技術:測定設備がモバイル機器およびサーバーとの通信を通じて結果を分析し、ユーザーのニーズに合わせて空気清浄機、換気(空調)システムなどを自動制御する技術。

人工知能・ビッグデータ技術との融合により、高度化を追求している分野である。

  • KR1988292B地下鉄駅内のPM2.5の濃度測定設備およびその方法、株式会社DAP:地下鉄の出入りなどによるPM2.5の変化を測定して空調機などを精密制御する。複数の地下鉄駅の測定情報をサーバーでデータベース化し、マシンランニングなどによって予測モデルを作成

(3) PM2.5と生物粒子の同時測定技術:PM2.5を測定すると同時に有害細菌およびウイルスを検出する技術。

PM2.5低減設備と殺菌器との組み合わせによって、シナジー効果を出しており、新型コロナウイルスの拡散以来、空気中のウイルスや有害菌感染の危険性が大衆に刻印されたため、今後注目される技術である。

  • KR1878094B異種反射鏡が結合されたPM2.5および微生物検出装置、株式会社Mediaever:周辺光による光害を最小限にし、PM2.5および微生物を検出する能力を大幅に向上させる。

特許庁の審査官は、「PM2.5に関連する市場の拡大と政府の関連政策の推進により、PM2.5の測定技術に関する特許出願は、今後増加すると予想されており、特にポストコロナ時代に備えて、多様な形の情報通信技術・バイオテクノロジーを融合した特許出願が急増すると予想される」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195