知的財産ニュース 特許庁、特許明細書の操作行為に対して厳重に対応

2021年4月29日
出所: 韓国特許庁

大熊(デウン)製薬による特許明細書の実験データを操作した行為に対して、(1)審査官の職権による無効審判請求、(2)検察に捜査依頼

韓国特許庁は、大熊製薬が重要な実験データを虚偽記載し、特許(※)を受けた事案について、(1)審査官が職権で無効審判を請求し、(2)特許法上虚偽行為の罪(※※)で検察に捜査依頼を要請すると発表した。

※特許第1583452号:胃腸疾患治療用の医薬組成物(登録日:2016年1月4日)
※※第229条:虚偽、その他の不正な行為で特許/審決を受けた者→3年以下の懲役、3,000万ウォン以下の罰金

まず、担当審査官は、大熊製薬で薬理効果に対する実験データの大部分を操作したと判断して、薬品関連特許に不可欠な実験データに重大な瑕疵があるという理由で、職権による無効審判を2021年4月28日に請求した。これに対し、特許審判院では、上記の無効審判を迅速審判に早急に処理(※)することにした。

※無効審判の処理期間(平均):(迅速審判)5ヵ月前後、(一般審判)9ヵ月前後

「大熊製薬特許の製薬成分(ビスマス)粒度数値に対する実験データ操作の疑い」

デウン製薬が2015年1月に出願をして2016年1月に登録を受けたが、特許庁がデータを操作を判断し重大な瑕疵を確認した

また、特許庁は特許法上虚偽行為の罪として2021年4月28日に検察に捜査依頼も要請した。大熊製薬が実験データを操作して特許を受け、操作したデータを真実であると陳述し、特許無効ではないという審決(※)を受けたと思われる行為に対して一罰百戒するために、強力に対処することにした。

※特許無効審判2016ダン1231号:審判請求人の安国(アングク)薬品(審決日:2017年1月23日)

これに関連して、公正取引委員会は、3月にデータを操作して、特許を取得(※)した後、特許訴訟を提起したと疑われる行為は、不公正取引行為に該当すると判断して、大熊製薬に是正措置と約23億ウォンの課徴金を賦課する議決をしている。

※公正取引委員会:食薬処の生動性実験(申請した薬の生物学的作用が、既存薬と同一であるか実験すること)のデータを調査した結果、特許明細書上の成功データ件数を増やし(1件→3件)、詳細な数値も操作したと判断

今回の事件をきっかけに特許庁と公正取引委員会は、特許関連事件の処理する際に一貫性を確保するため、事前協力を強化することに合意した。

今後、特許庁は今回の事件のように、重要な実験データなどを偽装し虚偽で特許を受けたと疑われる行為に対して特許制度の公正性を損なうものとみなし、厳重に対処する計画である。

特許庁の特許審査企画局長は、「IP金融の拡大、懲罰賠償制度の導入などにより特許の経済的価値が上昇し、公正な特許制度の定着がより重要になっている」と強調し、「特許庁は書類を偽装して不当に特許を受ける行為に断固に対処するなど、積極的な行政を繰り広げていきたい」と述べた。

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