知的財産ニュース 新型コロナウイルス、「飲食店業」の商標出願トレンドを変える

2021年4月19日
出所: 韓国特許庁

包装・配達業の出願は増え、訪問・外食業の出願は横ばい、家庭配達飲食店業や包装販売食堂業などにより、包装・配達は31.1%増

韓国特許庁は、2020年の1年間は2019年に比べて「家庭配達飲食店業、包装販売食堂業、テイクアウト食品サービス業など」のように包装・配達関連の飲食サービス業を指定(※)した商標出願が31.1%増加したと発表した。

※商標出願件数(2019年)9,974件(4.2%)→(2020年)1万3,077件(31.1%)

商標を出願する時には、商標を使用する商品またはサービス業を指定して出願(※)するが、2020年に出願された飲食店業に関連する商標は、新型コロナウイルスの影響により包装・配達関連の飲食サービス業が増加し、商標が実物市場の状況と密接な関係であることを示している。

※出願例示:(商標)デリバリーサービスの商標例示(指定サービス業)家庭配達飲食店業、簡易飲食店業、包装販売食堂業など20のサービス業

社会的距離の確保による会社員のテレワークの活性化、学生の非対面(遠隔)授業の増加、外食および私的会合の自粛などにより「家庭配達飲食店業」が66.0%(※)、「テイクアウト食品サービス業」が58.9%(※※)増加した。

※家庭配達飲食店業:(2016年)8,916件→(2019年)1万3,285件→(2020年)2万2,047件(66.0%増)
※※テイクアウト食品サービス業:(2016年)5,769件→(2019年)9,276件→(2020年)1万4,742件(58.9%増)

そして、パンデミックの長期化により、国内外の旅行が事実上難しくなったため、消費者が旅行の一部を経験することによって満足したいというニーズをターゲットにした、航空機機内食提供業が121.1%(※)、ホテル飲食準備調達業が64.9%(※※)増加した。

※航空機機内食提供業:(2016年)1,548件→(2019年)1,278件→(2020年)2,826件(121.10%増)
※※ホテル飲食準備調達業:(2016年)588件→(2019年)555件→(2020年)915件(64.9%増)

一方、キッズカフェ業が28.7%(※)減少し、レストランおよび料理予約業は18.2%(※※)減少するなど、新型コロナウイルスにより営業に苦しんでいる業種の現実を反映した商標出願であると分析される。

※キッズカフェ業:(2016年)2,177件→(2019年)3,443件→(2020年)2,454件(28.7%減)
※※レストランおよび料理予約業:(2016年)516件→(2019年)1,233件→(2020年)1,008件(18.2%減)

飲食店業全体で見ると、2016年1万6,829件から2017年1万6,493件に減少した後、2018年1万7,545件、2019年1万8,933件に平均4%増加したが、2020年には前年比18.2%増の2万2,383件が出願され、ここ5年間で最も大幅な増加傾向を見せた。

出願人の類型別にみると、2020年の個人出願は1万6,093件で71.9%、法人出願は6,290件で28.1%を、地域別では首都圏が66.6%で全体の大部分を占めている。内・外国人別の出願現況を見ると、内国人が2万1,972件で98.1%、外国人は411件で1.9%を占めた。

特許庁の化学食品商標審査課の審査官は、「包装および配達に関する商標出願が増えたのは、新型コロナウイルスで営業に被害を受けた食品業界の従事者が変化した環境に積極的な対応した結果であり、商標を出願する際には、消費者の好みやニーズに合わせてカスタマイズされた戦略や他人の商標と差別化したブランド戦略が必要である」と述べた。

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