知的財産ニュース 秘密デザインの制度改善によりデザイン保護を強化する!

2021年3月31日
出所: 韓国特許庁

物品名称の非公開により、企業の新製品開発動向が公になることを防止する

韓国特許庁は、企業が新製品のデザインを出願する際に、デザイン権の保護をより強化して経営戦略として活用できるように秘密デザイン制度を改善すると発表した。

※秘密デザイン制度とは、出願人の請求に基づいてデザインを一定期間(デザイン登録日から最大3年間)、秘密で維持することができる制度をいう。

4月1日から出願人が秘密デザインを申請する場合、デザインを示す図面やデザインの説明だけでなく、物品の名称と物品類も公開しないように変更される。

登録されたデザインは、原則として全ての内容が公開されるが、秘密デザインを申請すれば、登録されたデザインが一定期間に公開されないため、競合他社などによる模倣を防ぐことができる。

また、企業は市場の状況を察知しながら、新製品の発売時点に合わせて戦略的にデザインを公開することができるため、秘密デザイン制度をマーケティング戦略として活用することもできる。

このような秘密デザイン制度の長所にもかかわらず、これまでの物品名称と物品類は登録デザイン公報に公開され、企業の新製品開発動向が間接的に競合他社に知らされることが懸念されていた。

しかし、これからは情報が公開されないため、企業のデザイン開発と経営戦略をより完璧に保護することができる。

※(秘密デザイン申請時の公開情報):デザイン権者の氏名と住所、創作者の氏名と住所、出願日(番号)、登録日(番号)、審査登録または一部審査登録という事実
※(秘密デザイン申請時の非公開情報):図面または写真、創作内容の要点、デザインの説明、物品の名称および物品類(2021年4月1日から非公開)

秘密デザインの申請件数は、2016年から毎年2,000件以上を記録しており、2020年は2014年に比べて2倍以上増加した。今後も新製品のデザインを出願する際に企業が秘密デザイン制度を活用する件数が増加すると予想される。

※秘密デザインの出願件数:1,232件(2014年)→2,729件(2020年)

特許庁の商標デザイン審査局長は、「今回の秘密デザインに対する保護強化により、企業のデザイン経営戦略の策定および事業の成功に貢献できると期待している」と述べた。

「添付」秘密デザイン制度の参考資料(2021年4月1日施行)

1.秘密デザイン制度の概要

  • 概念:デザイン登録出願人の請求により設定登録日から一定期間(最大3年)、そのデザインを公開せずに秘密で維持することができる制度(デザイン保護法第43条)
  • 趣旨:デザインは、他人が模倣・盗用しやすく、トレンド性が強いため、製品の事業化に対する準備期間には、デザインを秘密にして他人の侵害を防止し、公開時点をデザイン権者が選択できるようにすることで、事業の成功に貢献

2.秘密デザイン登録公報の公開事項および非公開事項

  • 秘密デザインを請求する場合、登録公報の公開事項から物品名称および物品類を除く(デザイン保護法施行令第10条第2項)
秘密デザイン登録公報の公開事項 秘密デザイン登録公報の非公開事項
デザイン権者の氏名および住所
物品名称および物品類(除外)
審査登録または一部審査登録という事実
創作者の氏および住所
出願番号および出願日
登録番号および登録日
図面および写真
創作内容の要点
デザインの説明
物品名称および物品類(追加)

3.ここ7年間における秘密デザイン出願の統計

  • 2016年以降、毎年2,000件以上が出願されており、2020年は2014年に比べて2倍以上の水準で2020年に全出願件数の約3.8%である2,729件が請求された。

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