知的財産ニュース 韓国、11年ぶりに国際特許出願件数の世界4位を奪還!

2021年3月4日
出所: 韓国特許庁

史上初めて年間2万件を突破、前年に比べて5.2%増

新型コロナウイルスにより、デジタル・非対面分野に対する企業や大学の出願が増加、中国、2年連続で世界1位を占め、2位の米国との格差もさらに広がり

韓国特許庁は、2020年に韓国がドイツを追い抜き、中国、米国、日本に次いで世界知的所有権機関(WIPO)の国際特許出願(PCT出願(※))件数で世界4位(※※)を占めたと3月4日に発表した。

※PCT(特許協力条約、Patent Cooperation Treaty):一つの出願書をWIPOに提出すれば、複数の国に同時に出願した効果が得られる制度
※※韓国PCT出願ランキング:4位(2007~2009年)→5位(2010~2019年)→4位(2020年)

韓国のPCT出願件数は史上初めて2万件を突破し、2011年に初めて1万件を突破した後、9年ぶりに2倍に増加した。

※韓国におけるPCT出願件数の推移(件):(2011年)1万357件→(2019年)1万9,073件→(2020件)2万60件

新型コロナウイルスによる世界的な景気低迷にもかかわらず、韓国のPCT出願件数は、前年に比べて5.2%増加し、PCT出願件数の上位10ヵ国のうち、中国(16.1%)、スイス(5.5%)の次に高い増加率を記録した。

技術分野別では、新型コロナウイルスに備えるためのデジタルトランスフォーメーションと非対面分野(※)を中心に、PCT出願が増加したことが分かった。

※全体のPCT出願のうちデジタル・非対面技術の割合:(2019年)23.4%→(2020年)27.3%

出願人別では、大学、中小企業、大企業によるPCT出願がそれぞれ17.6%、5.6%、2.2%ずつ増加し、新型コロナウイルスで厳しい状況であったが、海外の知的財産権を確保するために持続的に取り組んできたことが把握された。

一方、2020年の全世界におけるPCT出願件数は、27万5,900件で、前年に比べて4.0%増加し、中国は6万8,720件を出願して、2年連続で世界1位を達成した。

中国のPCT出願件数は、前年比16.1%増加し、世界2位である米国との格差は1,694件から9,490件に広がったことが調査され、日本とドイツのPCT出願件数は、前年に比べで、それぞれ4.1%、3.7%減少したことが分かった。

全世界におけるPCT出願件数の上位10社には、中国のファーウェイ(1位)などの3社、日本の三菱(3位)などの3社、韓国のサムスン電子(2位、3,093件)とLG電子(4位、2,759件)の2社、米国はクアルコム(5位)の1社が含まれている。

LG電子は、PCT出願件数が2020年に比べて67.6%増加し、世界の上位10社のうち、最も高い出願増加率を記録し、サムスン電子は2018年に6位、2019年に3位、2020年に2位に3年連続で順位が上昇した。一方、LG化学の場合、PCT出願の減少で順位が3階段(11位→14位)下落した。

ファーウェイ社は2020年に、世界第2位のサムスン電子と第4位のLG電子のPCT出願件数を合わせた件数に近い5,400件余りを出願し、2017年から4年連続で、PCT出願件数の世界1位を占めた。

PCT出願の上位20大学に、米国のカリフォルニア州立大学(1位)などの6大学、中国の深圳大学(3位)などの9大学、日本の東京大学(10位)などの2大学、韓国はソウル大学(12位)、漢陽大学(17位)、高麗大学(19位)の3大学が含まれていることが分かった。

ソウル大学(9→12位)と漢陽大学(14→17位)は、出願増加にもかかわらず、それぞれ3段階が下がり、高麗大学(22→19位)は27%の出願増加により、3段階が上がった。

それ以外にも延世大学は125%の出願増加で順位が22位まで急上昇し、KAISTは、出願減少により14位下がった33位にとどまった。

これまで特許庁は、国際出願を活性化するためにグローバルIPスター企業の育成、中小企業IPダイレクト支援、スタートアップの知的財産バウチャー事業、ファンド・オブ・ファンズ、知的財産共済など、さまざまな支援をしてきた。

今後、特許庁は中小企業、大学・公共研究機関などを対象に、WIPOと共同説明会を開催してPCT制度を積極的に推進するとともに、WIPOと緊密に協力していくことで、韓国の企業などが、より便利にPCT制度を活用できる方策も推進する計画である。

特許庁の多国間機構チームの課長は、「今回の結果は、新型コロナウイルスによる景気低迷にもかかわらず、韓国企業がグローバル競争力を強化するために、海外知財権を積極的に確保しているという点を示している、いい事例である」とし、「これからも特許庁は、韓国企業が海外の現地での中核技術を知的財産権で保護できるように、さまざまな支援政策を積極的に推進していく計画である」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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