知的財産ニュース 特許庁、2021年知的財産基盤の研究開発(IP-R&D)戦略支援に404億ウォンを投入

2021年2月8日
出所: 韓国特許庁

緻密な知的財産戦略、研究開発(R&D)の成果を高めるナビゲーションになる

韓国特許庁は、研究開発(R&D)の過程で特許データを戦略的に分析し、収益になる高付加価値の特許を創出してR&Dの成果を高める、「2021年知的財産基盤のR&D(IP-R&D)戦略支援事業」を本格的に施行すると発表した。

IP-R&D戦略支援事業は、特許戦略の専門家と特許分析機関で構成された支援専担チームが、中小・中堅企業、大学・公共研究機関の開発技術に係る特許情報を深層分析し、特許障壁への対応、空白技術に関する最適なR&D方向の提示、優秀な特許の確保など、総合的なR&D戦略を提供する事業である。

R&Dの初期段階から先行特許の情報を深層分析して技術変化の方向、特許の空白地帯のような有用な情報を洗い出し、外国企業が先取りした特許障壁を迂回・回避できる方向に研究を行うと、特許紛争のリスクを事前に予防し、イノベーション技術の開発に速やかに到達することができる。

ここ5年間(2015~2019年)、IP-R&D戦略支援を受けた中小企業のR&D課題は、支援を受けていない中小企業の政府R&D課題に比べて、優秀な特許の割合が2.0倍、米国・欧州・日本の特許庁に同時に出願された特許の割合が3.1倍に至るなど、創出された特許の質的水準が高かった。

また、同期間にIP-R&D戦略支援を受けた大学・公共研究機関のR&D課題も、支援を受けていない機関に比べると、特許移転率1.4倍、技術移転契約当たりの技術料4.1倍で、産業界で活用価値が高い特許を創出したことが分かった。

2020年は、素材・部品・設備分野のR&D課題を集中支援することで、競争国の先導企業が上位を占めている特許障壁による紛争リスクを解消する一方、中核技術に対する特許出願389件(2021年1月時点、累積件数)という成果も得られた。

2021年は2020年(361億ウォン)より約12%増加した404億ウォンの予算を投入し、合計526のR&D課題を支援する。拡大した予算で2020年から集中的に支援してきた素材・部品・設備分野を支援し続けるとともに、BIG3(システム半導体・未来自動車・バイオヘルス)、DNA(ビッグデータ・通信・AI)、韓国型ニューディールなどの未来の成長潜在力を向上させるため、産業分野にも重点的に支援する計画である。

さまざまな形態の企業ニーズに応えるため、製品・サービスを融合した技術のようなサービスR&Dに必要である総合的な知的財産権戦略(※)を包括的に提供することができる、「技術イノベーションにおけるIP融合戦略支援」、技術価値の評価機関と連携して、金融投資への可能性も高める、「バリューアップIP-R&D戦略支援」、相互協力の関係である複数の企業が共通で必要とする中核技術の特許戦略を立てる、「企業群におけるIP-R&D戦略支援」など、カスタマイズ型の課題を運営する。

※ビジネスモデル特許、サービスを利用する際のユーザーエクスペリエンス(UX・UI)に関する特許・デザインなど

具体的な支援戦略をみると、特許障壁を回避する設計、優秀な特許創出のように開発に直接適用される戦略だけでなく、企業などが共通で必要とする場合には、多出願発明者の情報、代替技術特許を保有している企業の情報のような共同R&D、A&D(※)などの開放的なR&Dに活用する戦略まで拡大して提供する。

※Acquisition&Development:海外の先進技術を買収・導入して技術を開発する方式

特に2021年は、中小企業が特許調査・分析(IP-R&D戦略の確立)のために、産業財産権の診断機関に支払った費用について、25%の税額控除を適用する制度を施行(2月予定)するため、産業財産権の診断機関を追加指定することで、IP-R&D戦略支援事業に参加できなかった中小企業も、自らIP-R&D戦略を活用できる基盤を強化する計画である。

特許庁の産業財産政策局長は、「特許データは、世界中の全ての企業や研究所におけるR&Dトレンドが集約されている最新の技術情報の宝庫であり、これまで、それを活用したIP-R&D戦略支援を通じて専門人材と資金が不足している中小企業も中核・基盤技術の特許を確保し、世界市場に進出する成果を上げることができた」とし、「このような成果を国家R&Dの全般に拡大させるために、多方面からの努力を続けていきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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