知的財産ニュース BIG3産業の競争力を高めるために、特許戦略を集中支援する

2021年2月1日
出所: 韓国特許庁

BIG3分野など、約100社にIP-R&Dの支援

BIG3技術の優先審査支援および特許審査ガイドラインの制定

韓国政府は2月1日、政府ソウル庁舎で開催された「第四次革新成長BIG3推進会議」(主宰:経済副総理)で、関係部処が共同で推進する「BIG3産業の特許集中支援策」を発表した。

※BIG3産業:未来自動車、バイオ、システム半導体

同方策は、米国、中国のような海外主要国がBIG3産業においてグローバル主導権を握ろうと激しい競争を繰り広げている中、韓国の特許競争力は、まだ低レベルであるという分析結果に基づいたものである。また、2019年日本の素材・部品・設備における輸出規制により、中核部品の国産化などの技術自立を支援した特許戦略をBIG3分野に拡大適用し、BIG3産業の特許競争力を高めるための集中支援策を提示した。

1.R&Dイノベーションの支援:特許分析を通じて、BIG3産業における有望技術を把握し、BIG3をはじめとする新成長エンジン分野の約100社にIP-R&Dを支援する。

世界中の特許ビッグデータを分析し、BIG3などの国家主要産業におけるR&Dの有望技術を洗い出し、その技術が国のR&D企画の初期段階から反映されるよう、関係部処との有機的な協力体系を強化する。そして、BIG3、デジタル・グリーンニューディールなどと関わる新成長エンジン分野の企業、イノベーション企業1,000社など、関係部処が指定した有望企業の中から約100社を選定して、IP-R&Dを支援する。それに加えて、バイオ(忠北大学)、未来自動車(全南大学)、製造ICT(慶尚大学)に対する地域別のBIG3特化大学をIPに重点をおいた大学に指定(※)し、知的財産教育を支援する計画である。

※IPカリキュラムを深化させ、特許に基づいたR&D‧資金確保‧経営などを専攻した、IPの学・修・博士を養成

2.BIG3特許の創出:迅速かつ強力なBIG3分野の権利化に向けた特許審査システムを構築し、中小企業に対する海外特許費用の支援を拡大する。

水素自動車、自律走行車、知能型半導体、画期的医薬品、カスタマイズ型のヘルスケアなど、BIG3産業分野に対する特許の優先審査を積極的に適用し、専門審査官で構成されたBIG3特許審査の専門部署(※)を運営する。また、自律走行、バイオ、医薬をはじめとするBIG3産業分野(※)における特許の保護範囲を拡大するために、業界に合わせた特許付与の基準も制定する予定である。

※(2021年1月)AI、IoTサービス、種子、バイオ、医薬→(2021年下半期)自律走行、知能型ロボットなど

また、BIG3分野の中小・スタートアップにIP総合サービスを提供し、海外IP出願に投資するファンド組成など、海外の知財権確保にかかる費用の支援を強化し、BIG3をはじめとする新技術分野の標準特許創出も支援する。

3.紛争対応:「知財権紛争対応センター」を運営するなど、知財権紛争に対応するシステムを構築し、海外で発生する知財権侵害への対応を支援する。

2020年11月に発足した「知財権紛争対応センター」を通じて、紛争情報を随時にモニタリングする対象国を増やし、素材・部品・設備とBIG3に関連する懸案を中心にワンストップで紛争対応を行う計画である。

知財権紛争対応センター(2020年11月発足)の運営案

特に、BIG3産業の輸出企業が紛争状況に合わせて必要な戦略を自ら選択できるように、企業選択型対応戦略の支援を拡大し、技術・紛争の専門家を活用した紛争リスクの事前診断も提供する。

※紛争対応戦略の支援:(2020年)99億5,400万ウォン→(2021年)108億7,800万ウォン

さらに、韓国企業の進出が増えているロシア、メキシコなどの新興市場にIP-DESK(海外知的財産センター)を新規開所し、知財権紛争が発生すると現地で知財権の法律相談および紛争対応も支援する予定である。

特許庁長は、「グローバル企業が独自の技術開発やM&Aなどを通じて、特許・人材の確保に全力を注いでいる状況の中で、韓国のBIG3企業の特許競争力を高めることが何より重要である」とし、「韓国のBIG3企業が強力な特許を創出し、まともに保護されるように特許戦略、審査、紛争などに集中支援していく計画である」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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