知的財産ニュース 「危機をチャンスに」2020年の特許・商標などにおける知的財産権の出願件数が史上最高を記録
2021年1月14日
出所: 韓国特許庁
約55万7,000件で史上最高件数を記録、9.1%の増加率は2006年以降最高の数値
「デジタル経済、医療、医薬分野」、「中小企業」を中心に著しい上昇傾向
2020年には、新型コロナウイルスによる厳しい経済環境の中でも、知的財産権の出願件数が年間55万7,000件を超える史上最高値を記録した。
特に中小企業の出願が著しく増加し、産業別ではデジタル経済、医療、医薬分野の出願が大幅に上昇した。
1月13日、韓国特許庁によると、2020年の特許、商標、デザインにおける知的財産権の出願件数は、1年前より9.1%増加した総55万7,229件と集計された。
これは、2006年以降最も高い増加率であり、史上最高の出願件数である。そして、2020年12月には前年同月比19.1%に急騰した6万2,065件が出願され、月間出願件数の記録も更新した。
このような傾向について特許庁の関係者は、「過去の事例から分かるように、知的財産権の出願は、GDP成長率と直接連動されている。最近、新型コロナウイルスの拡散という厳しい状況の中でも、出願件数が急増しており、このような現象は韓国経済において前向きな兆しであると判断している」と意見を述べた。
年度別におけるGDP-特許出願の相関関係グラフ
出願動向を権利別で見ると、商標25万7,933件(16.4%増)、特許(※)23万1,740件(3.3%増)、デザイン6万7,556件(3.9%増)の順で出願されたことが分かる。
※特許出願は、実用新案出願まで含む。以下同じ。
特に商標出願はここ20年間で最も高い増加率を記録し、1985年以来36年ぶりに特許出願件数を追い抜き、ブランド価値に対する社会的な認識の拡散が反映されたものと解釈される。
ここ5年間における権利別出願(件)/増加率(%) 2020年の権利別出願(件)/割合(%)
出願人の類型別に見ると、中小企業、個人、大学‧公共研究機関、大企業の順で出願件数が増加し、中小企業は特許、商標、デザイン出願で17.8%の増加傾向を見せ、全体の知財権出願件数をリードした。中小企業が時代の変化に合わせて先行対応した結果として解釈される。
出願人類型別の出願および増加率中小企業 | 個人 | 大学・公共研 | 大企業 | 外国人 | その他 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2019年 | 142,997 | 173,284 | 29,296 | 51,953 | 84,288 | 29,150 | 510,968 |
2020年 (増減率) |
168,456 (17.8%) |
195,407 (12.8%) |
30,777 (5.1%) |
53,981 (3.9%) |
79,016 (-6.3%) |
9,592 (1.5%) |
557,229 (%) |
産業分野別の出願動向を見ると、新型コロナウイルスの対応と非対面技術分野で、相対的に高い出願増加率を示した。
特許の場合、電子商取引分野の出願(1万407件)が8.4%と最も高い増加率を見せ、デジタル経済の拡大によるオンライン取引市場の成長ぶり(※)を支えている。
※2020年10月基準の韓国国内におけるオンライン取引市場の規模は約13兆ウォンで、前年同期(11兆ウォン)に比べて18.5%増(出典:統計庁、オンラインショッピングの動向調査)
また、医療(9,983件、8.1%増)、医薬(4,380件、4.8%増)とバイオ(4,566件、2.7%増)分野における出願も増加し、医療と衛生分野に対する関心の高さが反映されている。
デザインにおいては、包装用品の出願が最も多く、家庭用保健衛生用品(3,903件)分野の出願は125.9%で、例を見ない増加率を記録した。
商標は、医療用機器(8,391件、42.7%)と医薬品の分類(1万4,530件、31.3%増)の出願が大幅に増加し、YouTubeなどによる個人放送の増加とともに放送通信業(7,998件、37.3%増)と電子‧音響‧映像機器の分類(2万6,865件、18%増)も高い増加率を記録した。
また、サービス業に関連する商標出願の増加率は12.6%であり、商品に関連する出願より高い数値を示しており、サービス産業中心の先進国型産業構造への再編が進められていると分析される。
※商標45分類の中で商品分類(1-34類)の出願は、8.9%(2019年17万2,467件→2020年18万7,880件)、サービス業分類(35-45類)の出願は、12.6%(2019年11万5,387件→2020年12万9,965件)に増加(※※)
※※多類商標を基準に、1出願多数の分類について重複を許容する
特許庁長は、「2020年に知的財産権の出願が増加したのは、果敢なR&D投資が反映されたものであり、これから新型コロナウイルスの危機をチャンスに変えられる原動力になると思っている」とし、「特許庁は、韓国企業が知的財産権を先に確保し、グローバル市場での競争力を持てるように、さまざまな支援施策を継続的に発掘・推進していく計画である」と述べた。
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