知的財産ニュース 非典型商標(立体・音・色彩など)の商標審査基準を改正

2021年1月5日
出所: 韓国特許庁

新しいタイプの商標に対する審査の正確性向上および出願人の便宜向上を期待

韓国特許庁は、トレードドレス(※)を企業の商標で出願して登録を受ける事例が増えており、立体・音・色彩商標のような非典型商標に対する審査の正確性を向上し、出願人の便宜を図るために商標審査基準を改正(2021年1月1日)すると発表した。

※トレードドレス(trade dress):他の商品やサービスと区別できるようにする商品全体のイメージと総合的な外観のこと。商品の大きさ、形状、色彩や色彩の組み合わせ、触感、図形、デザインなどが含まれる。

非典型商標における出願・登録現況

区分 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年11月
出願 135件 96件 174件 101件 198件 142件
登録 59件 102件 35件 101件 63件 105件

商標審査基準改正の主要内容は次のとおりである。

第一に、最近、建物の内・外観のように製品販売やサービスを提供する営業所の全体的な空間が広く使われて特定の人の商標として認識される場合があり、それを登録商標で保護するための詳細基準を確立した。

そして、出願人が出願の願書に建物の内・外観を実線(保護を受けようとする部分)と点線(保護から除外される部分、実際の商標使用により変更可能)で表現できるようにした。

それと共に、「商標法施行規則」を改正(2021年2月1日施行)、立体商標と位置商標における最小限の図面提出件数の制限を緩和(既存の2~5枚から1~5枚に改善)し、1つの図面だけでも立体商標および位置商標の特徴を表現できれば出願できるようにし、出願人の便宜を図れると予想される。

建物内・外観における海外商標登録事例(アップルストア)

建物内・外観における海外商標登録事例(アップルストア)

第二に、位置商標の範囲を既存の大法院判例を通じて認められた「商品の特定位置に使用され、識別力を取得した形状・図形」から「特定位置に使用され、識別力を取得した色彩」まで拡大し、商品の特定位置に使用された完成品の出所表示機能を獲得していれば、色彩も位置商標として保護されるよう制度を補完した。

特定位置に使われた色彩の海外商標登録事例

特定位置に使われた色彩の海外商標登録事例

また、出願人がさまざまな色彩表現ができるように表現方式を拡大(※)し、音の商標に対する識別力取得に関する事項などを改善した。

※(現行)Pantone→(改正)Pantone、Hex、RAL、RGB、CMYK、KS A 0062など

最後に、非典型商標の機能性に対する審査を強化し、特許で保護されるべき機能的な立体的形状などが商標として登録されないように審査基準を強化した。

機能性は、商品や商品の包装機能を確保するために必ず必要な特性であり、機能性のある立体的形状、色彩、音やにおいのみで構成された商標が登録される場合、特許権の存続期間である20年を超えて、半永久的に商標権に保護されるため、公正な競争が阻害される可能性があり、それを防止するためである。

特許庁は、機能性の判断要素として、当該の出願商標に対する(1)特許・実用新案が存在するか、(2)当該製品の機能に対する広告があるか、(3)該当製品に対する代替形状が存在するか、(4)代替形状などを製造する際の容易性および経済性などを総合考慮して判断できるように基準を改正した。

特許庁の商標デザイン審査局長は、「今回の審査基準の改正により、非典型商標審査基準が先進国と調和を図り、出願人の便宜も向上させ、商品競争力の重要な要素として浮上している、トレードドレスに対する保護が強化される効果を期待できる」とコメントした。

「添付」非典型商標審査基準改正事項(要約)

改正背景:

  • 特許で保護されるべき要素が商標権によって無期限保護されないよう、非典型商標に対する機能性審査を強化
  • トレードドレスが商品競争力の重要な要素として作用するようになり、非典型商標に対する保護範囲を拡大し、識別力などの判断基準の先進国との調和を図る。

主要改正内容:

  • (機能性)機能性を判断する要素(※)を中心に、各要素別の原理、適用手続き、注意事項などを新設
→ 判断手続きを情報取得方法、注意事項、決定後のフォローアップ手続きなどを総合してフローチャートの形に明確化し、機能性が存在する可能性のある非典型商標を審査する際に機能性判断の遂行を義務化する。
※(1)特許・実用新案が存在するか、(2)機能に対する広告があるか、(3)代替形状が存在するか、(4)代替費用が安いか
  • (立体商標)商品販売およびサービス提供の空間である建物の内・外観を立体商標として保護できると審査基準に明示し、保護範囲を拡大
  • (位置商標)位置商標で出願された標章のうち、保護を受けようとする範囲(実線表示)が形状(立体)や模様(図形)ではない、色彩である場合も位置商標として認定
  • (色彩商標)色彩商標の使用による識別力取得審査は、消費者が色彩そのものを商品の出所表示で認識するかに重点をおいて判断
→ 色彩を選択する可能性および使用する色彩の名称を明確にするために、表現できる「商業的色彩コード」の種類を拡大
  • (音商標)音商標における識別力の判断は、TV・ラジオなどでの広告による、消費者の出所表示の認識程度に重点を置いて審査

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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