知的財産ニュース 不正競争行為の申告、新型コロナウイルスの余波でも増加中

2020年7月28日
出所: 韓国特許庁

不正競争行為調査制度、経済的弱者のための役割を存分に果たす

特許庁は不正競争行為申告センターの受付件数が200件(2020年6月1日基準)を超えたと明らかにした。

不正競争行為調査制度が本格的に施行された2017年12月以降、約2年6ヵ月ぶりに成し遂げた成果であり、特許庁では調査制度の運営における肯定的な信号と評価している。

2020年は新型コロナウイルスの余波により対面調査などが容易ではなかった事情を鑑みると6月1日の200件目の受付に続き、2020年上半期の受付件数(60件)が2019年全体の受付件数(66件)に近づいている(約91%)など、申告が増加しており、調査制度が経済的弱者のための権利救済手段として位置づけられていると見られる。

実際に不正競争行為申告センターの訪問者は、自営業者や中小企業が多数(申告人の83%)であり、さまざまな悩みが相談されている。

「私が数ヵ月かけて研究して作った紙ブロックの形態を、委託先のオーダーメイド企業が丸ごと模倣して売っているのですが、不正競争行為に該当するのではないのでしょうか」、他人が時間と費用をかけて作った商品形態を模倣して自分の営業に利用する場合、不正競争行為に該当する可能性がある。

主な不正競争行為の類型(2017年8月から2020年6月30日までの期間、計218件基準)について調べて見ると、

(1)商品形態模倣行為:不正競争行為の類型のうち、上記の事例のように商品形態模倣により申告された件数は全体の39%(86件)で最も多い。その理由は、小規模事業者の製造業に従事する割合が高く、その一部は製品開発過程よりも、手軽に他人の努力にただ乗りすることを選ぶからであると推測される。

(2)アイデア奪取行為:2番目に申告が多い不正競争行為の理由はアイデア奪取行為(56件、26%)である。アイデア奪取として申告される分野は電算プログラム、機械、農業資材など、多岐にわたるが、商品形態模倣が中小企業間の紛争である反面、アイデアの奪取は大企業が申告を受ける場合が多いことが特徴である。

※被申告人(大企業)/全体:商品形態模倣(3件/86件)、アイデア奪取(17件/56件)

(3)商品・営業主体混同行為:商品・営業主体混同を招く不正競争行為に対する申告(55件、25%)は、アイデア奪取行為とほぼ同等な水準で受け付けられるが、上半期の受付(23件)件数がすでに同一類型の2019年の全体申告件数(22件)を上回っている。主体混同不正競争行為において保護対象である標識は登録標識以外にも姓名、商号、包装、営業場所の外観など特定人の商品・営業の出所として認識された標識であれば良い。ただし、広く知られていることを要件としているため、小規模事業者が申告する場合は認めてもらうのが容易ではない。

特許庁の産業財産調査課長は、「新型コロナウイルスにもかかわらず申告が増加している理由は、非対面消費によるオンライン取引の活性化を受け、違反行為の把握が容易になったことも影響を及ぼしたと見ている」とし、「他人が努力して開発した商品形態の模倣や取引過程を利用して不当にアイデアを奪取する不公正行為に対しては、積極的に対応する一方、人員の増員などを通じて処理期間も改善していく計画である」と述べた。

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