知的財産ニュース 自律走行の目、ライダー(LiDAR)へ韓国内スタートアップの参入活発

2020年1月8日
出所: 韓国特許庁

スタートアップ・中小企業の特許出願量の増加

毎年恒例のように、世界中のイノベーションのアイコンと呼ばれる家電製品が1月7日、米国ラスベガスで開催される家電およびIT博覧会(CES 2020)(注1)に出品された。CESに自律走行車が出品されることはもう慣れているほど、自律走行車はすでに私たちの日常生活になじんでおり、自律走行車の中核技術であるライダー(LiDAR)(注2)関連の特許出願も競い合いながら増加していることが明らかになった。ライダーは、光を用いて周辺を探索する装置であり、電波を使うレーダーに比べて周辺の対象との距離や形状を正確に認識でき、カメラに比べて夜間や逆光でも物体を正確に認識することができるため「自律走行車の目」と呼ばれるくらい、自律走行における重要な機能を果たしている。しかし、車体から突き出る形状と高い値段のため、これまで広く活用されなかったが、最近自律走行車が注目を集めており、新しい形状と生産コスト削減技術の研究が活発になり、それを受けて権利を先に取得するための特許競争も本格化している。

特許庁はここ10年間(2009~2018年)、自律走行車の中核技術であるライダー関連特許出願が著しく増加したと発表した。2009年から2011年までのライダー関連特許出願は年間20件あまりに過ぎなかったが、2012年に42件で2倍上昇し、2017年に121件で6倍に上昇するなど、出願件数が急増していることが分かった(注3)

企業規模別では、大手企業、スタートアップ・中小企業および外国企業全部の出願件数が増加しており、特にスタートアップ・中小企業が出願量の急増をけん引した。スタートアップ・中小企業は、2014年までの出願件数は10件未満だったが、2015年に20件以上出願した後、最近では30件以上出願していることが分かった。このような傾向は、新しい形状設計とそれによるコスト削減技術の開発にクリエイティブなアイデアを持つスタートアップと中小企業が適合しているからだと分析している。

適用分野別では「自律走行車の分野」の出願が65%、「自律走行車以外の分野」の出願が35%を占めている。

-「自律走行車の分野」では、自律走行の信号処理(28%)、ライダー構造や制御(26%)、ライダー内装素子(10%)の分野で出願が増加していることが分かった。詳細に見ると、自律走行の信号処理分野では、走行環境認識に向けた信号処理技術を主に出願しており、ライダー構造と制御分野では、回転型ライダー技術が多数出願され、ライダー内装素子の分野では受光素子が主になっているが、最近、固定型ライダー用ビーム照射角度制御素子技術も出願されていることが明らかになった。

-「自律走行車以外の分野」では、交通安全、無人ドローン、無人モビリティ、携帯電話、セキュリティ監視、ヘッドセット、レジャーなど、さまざまな分野でライダー技術が活用されていることが分かった。周辺の交通状況を示す歩行者安全装置や、無人ドローンを利用して船舶の入出港情報をサポートするシステムに適用するなど、交通安全領域および無人ドローン領域でライダー技術が最も多く活用されていることが明らかになっている。

特許庁の自律走行審査チーム課長は「自律走行車分野では、スタートアップおよび中小企業を中心に、商用化に向けたライダー技術開発の傾向が続くと見込んでおり、自律走行車以外の分野では、国民の安全や利便性を向上させる分野としてライダー技術の活用範囲が拡大される」と展望した。

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