知的財産ニュース 賢くなっていく白物家電、白物家電市場に吹くスマートな風

2020年12月22日
出所: 韓国特許庁

スマート白物家電分野の特許出願、ここ10年間に年平均15%増

韓国の家電メーカー、グローバルIT企業との競争に備えるべき

スマート白物家電分野における韓国の特許出願が急増している。韓国企業(研究機関を含む)が全体国内出願の75.9%を占めており、出願を主導している。成熟段階に到達している白物家電分野(※)において、企業側は人工知能技術のような第四次産業分野と融合したスマート白物家電を通じてユーザーの多様なニーズに応えながら、新たな市場を開拓(※※)している。今後、韓国企業は、スマート白物家電市場で海外家電メーカーだけでなく、グーグル、アマゾン、アップルなどのグローバルIT企業と競争すると予想される。

※2023年まで世界の家電市場は、年平均2.3%成長すると予想(韓国貿易協会、ASEAN家電市場の動向および進出戦略、2017)
※※2023年まで米国のスマート家電市場は、年平均14%成長すると予想(大韓貿易投資振興公社、スマート家電で飾るスマートホームの米国市場進出戦略、2020年1月)

韓国特許庁によると、スマート白物家電(※)分野における韓国の特許出願は、2010年27件から2019年92件に3倍以上増加し、年平均15%増加したことが分かった。

※スマート白物家電は、冷蔵庫、洗濯機、エアコンのような白物家電製品に人工知能および通信技術などを融合して能動的で高度化された機能を実現する新たな概念の白物家電製品である。

これは情報通信技術の急速な発展と単独世帯、共働き家庭の増加などにより生活様式が変化し、家電製品に対するユーザーのニーズが利便性の向上、時間の節約のようなものに高度化し、それに対応するために企業の技術開発が活発になったことが原因であると判断される。

韓国におけるスマート白物家電の特許出願について、出願人の類型別に見ると、韓国企業(研究機関、個人を含む)が75.9%を占め、外国人は14.3%にとどまっており、韓国企業(研究機関を含む)が出願を主導している。

多出願した主要企業のランキングを見ると、LG電子が217件で最も多い特許を出願しており、サムスン電子、東芝、ハイアール、東部大宇電子の順で調査された。

主な韓国国内における特許内容を見ると、エアコン、冷蔵庫の場合、人工知能の分野であるマシンラーニング、ディープランニングなどの学習機能とモノのインターネット(IoT:Internet of Things)技術などを活用して、状況に合わせた最適運転システム、リモートコントロールおよびモニタリングなどを実装した技術が中心になっている。

さらに冷蔵庫は、保管物の管理情報を転送して保管物の状態に合わせた最適運転を行う技術が高い割合を占めている。特に最近の冷蔵庫を使った食材のオンラインショッピングに関する出願が急増している。

米国内スマート白物家電特許の出願動向

  • 世界最大の家電消費国である米国では、同じ期間の間に、韓国企業がスマート白物家電分野の全体特許出願の23.6%を占めており、海外企業との競争が激しい。LG電子(154件)が多出願企業の1位、サムスン(86件)が2位を占めるなど、韓国企業が米国家電市場で頭角を現している。
- 注目すべき点は、米国のスマート白物家電分野の特許出願において、グローバルIT(Information Technology)企業であるグーグルが6.89%、アマゾン4.33%、アップル1.38%の出願割合を占めており、本格的に姿を現し始めている。

- これは、グローバルIT企業の強みである通信および人工知能技術を利用したスマートホームプラットフォーム(グーグルアシスタント、アマゾンアレクサ、アップルホームキットなど)と既存の白物家電製品を融合して実現したスマート家電機器に関連する出願であると分析される。これらのグローバルIT企業は、現在、韓国の家電メーカーと協力しているが、今後、市場が成熟段階に進入すると、既存の白物家電分野の強者である韓国企業に対する新たなライバル企業になると予想される。

特許庁の家電製品審査課長は、「スマート白物家電に関連する特許出願は、徐々に増加すると予測している」とし、「既存の白物家電市場の強者である韓国企業は、海外家電メーカーとの競争だけでなく、グーグル、アマゾン、アップルなどグローバルIT企業との競争も予想されるため、さまざまな分野の技術融合と積極的な特許の確保戦略を並行して推進しなければならない」と意見を示した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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