知的財産ニュース 環境にやさしいエネルギー保存倉庫、スーパーキャパシタの出願が活発

2020年11月20日
出所: 韓国特許庁

韓国政府が韓国型ニューディール政策を発表、米国バイデン大統領候補がグリーンニューディールの公約を発表するなど、環境にやさしいエネルギーに対する関心度が高くなっている中、環境にやさしいエネルギー産業の重要部品であるスーパーキャパシタの特許出願も日増しに増加している。

特許庁は、スーパーキャパシタ関連の特許出願が、2013年までは年平均80件以下に過ぎなかったが、2014年を基点に急激に増加し、直近5年間(2014~2018年)は年平均122件が出願されていると明らかにした。

[スーパーキャパシタ]
・スーパーキャパシタは、電極と電解質界面への単純なイオン移動や表面化学反応による充電現象を利用するエネルギー保存装置である。
‐風力、太陽光、電気自動車などでは、高速充放電および反復的な充放電に対応する大容量のエネルギー保存装置を必要とする。しかし、既存のキャパシタは、容量が小さいという限界があり、二次電池(リチウムイオン電池)は、高速充放電が難しく、反復的な充放電により寿命が短くなるという欠点を持っていた。
‐しかしながらスーパーキャパシタは、一般的なキャパシタに比べて単位面積当たり、数十倍以上多くのエネルギーを保存することができ、リチウムイオン電池と比較すると、高速充放電、半永久的寿命などの優れた特性を持っている。
・これらの特性でスーパーキャパシタは、未来環境にやさしいエネルギー保存装置として脚光を浴びているが、全世界の市場規模も2017年3,136百万ドルから2023年1万4,116百万ドルまで急激に成長するものと予想される。

最近10年間における詳細技術別の特許出願動向を見ると、電極関連技術(548件、56%)、モジュールおよびケースに関連する技術(229件、23%)、電解物質に関連する技術(116件、12%)の順であった。

電極関連では、電極材料と製造方法、電極構造等に関する技術が多数出願された。モジュールとケース関連では、セル・バランシング、保護回路、温度制御、信頼性の向上のために研究開発が継続され ていることが分かった。

出願人の類型を調べてみると、韓国国内企業(39%)、韓国大学・研究所(36%)、外国企業(21%)、外国大学・研究所(3%)の順であった。素材開発および特性改善などの研究が必要な分野であるだけに、企業だけでなく大学や研究所の出願も多数あることが分かった。

特許庁の電気通信技術審査局長は、「環境に優しい政策および二酸化炭素の排出規制に関連する製品と再生可能エネルギーへの要求が大きく、スーパーキャパシタは次世代エネルギー保存装置として、その需要が増加すると見込まれる」とし、「未来産業の重要部品であるスーパーキャパシタの技術競争力を確保するために、産業界、学界と政府による、継続的な協力と積極的な投資が必要な時期である」と述べた。

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