知的財産ニュース 新型コロナ危機にも韓国の国際特許出願(PCT)は歴代最高を記録中
2020年11月17日
出所: 韓国特許庁
デジタルトランスフォーメーション‧非対面関連技術の出願が活発
韓国特許庁は、世界的な新型コロナウイルスの危機の中でも、韓国特許庁に出願されたPCT出願件数(※)(2020年10月基準)は前年同期(※※)に比べて3.7%増の1万5,231件で過去最大を記録したと明らかにした。
※PCT(Patent Cooperation Treaty)条約に基づき、一つの出願書を受理官庁に提出すればPCT加盟国(153ヵ国)に特許を出願した効力が与えられる。
※※2016年10月(1万2,417件)、2017年10月(1万2,205件)、2018年10月(1万3,140件)、2019年10月(1万4,684件)
2020年の年間PCT出願件数も過去最高値を更新すると予想される。
国際比較が可能な8月末までに公開されたPCT出願の増加率(※)でも、韓国は著しい上昇傾向を見せた。
主要な上位10ヵ国のうち、出願増加率(2020年8月基準)は中国(25%)に次ぐ2位(4.6%)で高い数値を見せた。韓国の増加傾向に比べて、日本、米国のPCT出願件数(2020年8月基準)は、それぞれ3.9%、0.1%減少し、対照的な傾向を見せた。
※WIPOの公式PCT国際出願件数は、2020年8月末まで公開
韓国におけるPCT出願件数の増加(2020年10月)は、新型コロナの状況でも韓国企業や大学が海外市場に進出するために知的財産権を先に獲得し、グローバルにおける知的財産競争力の確保に向けて積極的に乗り出したからであると分析される。
出願人の類型別でみると、大企業(4.3%増)、中小企業(2.0%増)、大学(16.7%増)の出願がすべて増加し、産業界と学界いずれも国際レベルの知的財産権を確保するために取り組んでいることが分かった。
2020年は新型コロナの危機により、主要先進国のマイナス成長が予測される中で、韓国のPCT出願件数は歴代最高値を更新すると予想され、景気回復および将来に成長に対するポジティブな兆し(注1)が見えている。
実際に第3四半期(2020年7〜9月)の韓国の経済成長率は1.9%成長(※)して回復傾向を見せている。第1四半期(-1.3%)と、第2四半期(-3.2%)はマイナス成長を続けたが、第3四半期は2%近く反騰し、景気回復に対する期待が高まっている。
※韓国銀行、第3四半期の実質国内総生産(GDP)成長率発表(2020年10月27日)
技術分野別の特徴をみると、最近のデジタルトランスフォーメーション‧非対面に関する技術分野の出願が活発になっている。
全体のPCT出願の中で、デジタルトランスフォーメーションと非対面に不可欠な技術分野であるデジタル通信、コンピュータ技術、オーディオ・映像技術に関する出願の割合が、最近3年間持続的に増加している。
特許庁は知的財産の出願支援ファンドを造成して海外出願費用を支援しており、新型コロナの被害を受けた地域の中小企業に対する国際調査料を減免するなど、韓国企業における海外知的財産の確保を支援している。
さらに、これからも中小企業の国際特許出願の手数料減免、世界知的所有権機関(WIPO)との共同説明会・セミナーをはじめとする教育・広報などを推進する計画である。
特許庁の特許審査企画局長は「国際特許出願の増加は、新型コロナウイルスが拡散して以来、韓国における知的財産権の確保と技術競争力の強化に非常にポジティブな兆しである」とし、「特許庁はポストコロナ時代に、韓国企業が積極的に海外市場に進出して、デジタルトランスフォーメーション時代をリードできるよう継続的に支援していく」と述べた。
注記
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米国、日本などのG7参加国で特許権数の割合が1ポイント増加すると、1人当たりのGDP成長率も0.65%増加し、特許成長が経済成長を促進すると分析される(MPRA Paper、2011)
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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