知的財産ニュース 自動車メーカー、電気自動車や燃料電池自動車の電池に関する出願が活発

2020年11月9日
出所: 韓国特許庁

自動車メーカー、エコカーの電池を直接作る!

2020年9月、自動車、電池業界の関係者はもちろん、全世界の多くの投資家が注目したテスラの「バッテリーデイ」が開催された。当日、テスラは電気自動車を半額で発売することを目標とし、電池工場の増設および技術開発の計画を発表した。
伝統的な内燃機関自動車において、エンジンと電池の開発・生産は、それぞれ自動車メーカーとバッテリーメーカーの領域であった。しかし、電気自動車・燃料電池自動車のようなエコカーへと自動車市場のパラダイムが変化し、エコカーのエンジンに当たるバッテリー、燃料電池などの電池分野まで自動車メーカーの領域が拡大している傾向である。

韓国特許庁によると、自動車メーカーのエコカー用電池(電気自動車や燃料電池自動車の電池)に関する特許出願が活発であることが分かった。自動車メーカーの電池に関する特許出願は、2010年から2019年まで計4,435件であり、2010年277件から2019年433件に56%増加した。

それにより自動車メーカーにおける全体の特許出願のうち、電池分野出願の割合も2010年7.0%から2019年9.1%に増加した。内燃機関車からエコカー市場に変化しているため、自動車メーカーがエコカーの心臓である電池に関する研究開発の割合を徐々に拡大してきた結果であると解釈される。

企業別では、自動車メーカー全体における電池出願のうち、現代自動車グループが56.4%、トヨタ自動車が27.6%、ルノー・日産・三菱アライアンスが11.5%、フォルクスワーゲングループ(アウディ、ポルシェなど)が2.4%の順となっている。

グローバル電気自動車企業の1位であるテスラは、韓国国内における自動車メーカーの電池特許出願のうち、わずか0.25%の割合を占めていると調査された。電気自動車の本場である米国でも、ここ5年間(2014〜2018年)、グローバル5大自動車メーカー(※)別の電池関連出願は平均696件だったが、テスラの特許出願は37件にとどまった。

※フォルクスワーゲングループ、トヨタ自動車、ルノー・日産・三菱アライアンス、フォード、現代自動車グループ

このような傾向は、従来の自動車メーカーの場合、安定した自動車販売台数を基盤にして、エコカー時代に備えるために電池技術を着実に開発することができたが、それに反してテスラのような新興電気自動車メーカーは、急速に成長するために長い間蓄積した技術力を求める電池は、専門電池メーカーからの外注に依存しており、電気自動車の設計、構造などの電池以外の効率向上に集中したためであると分析される。

エコカーを電気自動車と燃料電池自動車に区分けしてみると、2010年以降、自動車メーカーは電気自動車の電池を年平均263件、燃料電池自動車の電池を年平均180件出願した。韓国自動車メーカーは、燃料電池自動車の電池出願の割合が56.8%で外国自動車メーカーより高く、外国自動車メーカーは電気自動車の電池出願の割合が80.4%で韓国自動車メーカーより高かった。未来のエコカーに対する考え方について、韓国と外国自動車メーカーがどう違うにかを予測できる部分である。

特許庁の次世代エネルギー審査課長は、「エコカー市場の急激な膨張が予測されており、爆発的なバッテリーの需要を消化して価格競争力を確保するために、自動車業界におけるバッテリー技術の開発は、さらに拡大すると予想される」とし、「韓国の自動車とバッテリー企業は、グローバル競争力を認められており、次世代エコカー市場をリードするために韓国企業が相互協力することにより、技術開発のシナジーを発揮し、それを知的財産権で強力に保護する必要がある」と述べた。

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