知的財産ニュース PM2.5とウイルスを同時に防ぐ空気浄化の特許が大幅に増加

2020年11月3日
出所: 韓国特許庁

室内で抗菌・抗ウイルス効果のある空気浄化の特許出願が2016年以降計238件、2019年に比べて28%増

  • WHOが新型コロナウイルスに対しパンデミックを宣言(2020年3月11日)してから、抗菌機能付きの室内空気浄化に関連する特許出願の件数が増加し、技術もますます発展していることが分かった。これまで韓国国内外の環境要因によるPM2.5濃度上昇に伴って、室内のPM2.5除去に関連する特許出願が2016年以降、毎年200件余りに至るくらい活発に行われている。
  • 最近、新型コロナウイルスの影響により室内の細菌やウイルスまで捕集し、死滅させる機能を兼ね備えた室内空気浄化に関連する特許出願が顕著に増加している。

韓国特許庁によると、2016年からここ5年間、「室内抗菌・抗ウイルスの空気浄化分野」で特許出願された238件を分析した結果、2016年38件から2020年(9月時点)64件と年平均14%増の傾向を見せ、この傾向が続けば2020年(12月時点)には、70件以上が出願されると期待されている。

すでに2020年(9月時点)の特許出願件数(64件)だけで、2019年の特許出願件数(50件)に比べて28%の大幅増である。

具体的に見ると、3月〜7月だけで49件が出願され、特に4月(11件)、6月(11件)、7月(12件)には二桁の出願件数を記録した。

これは新型コロナウイルスによるパンデミックが宣言されてから、韓国国内での新型コロナウイルスの拡散が本格化された時期が重なったことで、出願が集中したと解釈できる。

[直近5年間のPM2.5および抗菌・抗ウイルスの特許出願状況]

2016年からここ5年間における主要な細部技術分野別の出願動向を見ると、フィルター種類63件(26.5%)、紫外線(UV)殺菌技術38件(16.0%)、フィルターの構成物質25件(10.5%)、水で洗浄する湿式技術20件(8.4%)、プラズマ・陰イオン(注1)技術19件(8.0%)、△電気集塵技術7件(2.9%)などの室内の抗菌・抗ウイルス空気浄化のためにさまざまな方法で技術開発が行われていることが分かった。

注目すべき点は、病室内の陰圧装置(注2)に紫外線(UV)や殺菌機能のフィルターなどを組み合わせた特許出願の場合、2019年2件に過ぎなかったが、2020年3月以降には15件が出願され、これは新型コロナウイルスの治療現場で緊急に要求されている技術に歩調を合わせて、速やかな特許出願が行われたことを示している。

なお、2016年からここ5年間の出願人類型別にみると、中小企業95件(39.9%)、個人87件(36.6%)、大企業33件(13.9%)、大学・研究所23件(9.7%)の順で、中小企業と個人出願の割合が比較的に高かった。

その理由は、室内空気浄化に関連する市場が持続的に拡大している中、抗菌・抗ウイルスの空気浄化技術は、小資本の企業や個人からの参入が容易なためであると見て取れる。

特許庁の化学生命技術審査局長は、「これまで室内空気浄化の分野において韓国企業が頭角を現してきたが、新型コロナウイルスによるパンデミックに対応して抗菌機能を付けた空気浄化技術まで発展させれば、韓国国内の産業競争力がより高まると期待している」とし、「特許庁も関連特許情報を迅速に提供し、正確な審査を経て、支援していくつもりである」と強調した。

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