知的財産ニュース 横取り・模倣商標出願は登録不可、必ず看板を下ろす必要はない

2020年10月21日
出所: 韓国特許庁

元祖のお店ではない他人が商標出願?

最近、テレビ番組である「ペク・ジョンウォンの路地裏食堂」により有名になった浦項にあるお店の商標を第3者が出願して問題になっている。特に番組の後、関係のない第3者が先に出願したため浦項のお店が商標権を確保できないのではないかという懸念の声もあった。
このように商品の企画段階から商標などの知的財産権の確保を念頭に置いて進行する企業とは異なり、自営業者や零細企業などは、資金と知的財産権に対する認識不足などにより事業開始をした後にも、商標権を確保できず、紛争に巻き込まれる事例がある。

韓国の商標法は、先願主義を採用しているが、必ずしも先に出願した人が商標登録を受けるわけではない。

現行商標法によると、特定人の出所表示として認識された商標を他人が先に出願しても、商標法第34条第1項第12号(需要者を欺瞞すること)および第13号(不正目的による出願)などのため、登録を受けられない可能性がある。

本人が使用している商号などを第3者が無断で出願した事実を知った場合、その商標が登録される前には情報提供および異議申立をすることができ、商標登録後には無効審判を請求することができるため、横取り・模倣出願に積極的に対応する必要がある。

[商標の模倣出願に対する対応策]
区分 商標法 請求(提出・申請)人 提起期間
情報提出 第49条 誰でも(匿名提出可能) 商標登録可否が決まるまで
異議申立 第60条 誰でも 出願公告日から2ヵ月
登録無効審判 第117条 利害関係者 商標法第34条第1項12号および13号による
商標登録無効審判は
審判請求期間(除斥期間)の制限無し

一方、商標法では、「零細企業などに向けた姓名・商号などの先使用権」を認めているため、本人が当初使用していた商号などを他人が、同一・類似な商品に商標登録を受けたとしても、その登録における無効の宣言を求めるための審判請求の可否とは関係なく、不正競争の目的がなければ看板を下ろさなくても続けて営業に使用することができる。

姓名・商号・メニュー名などが、自分の営業において出所表示として認識できる程度に広く知られている場合には、商標登録をしなくても「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」によって保護されるため、裁判所に使用禁止および損害賠償を請求するか、または特許庁の行政調査を通じた救済も可能である。

特許庁の商標デザイン審査局長は、「特定人の出所表示として認識される場合、第3者の模倣出願は登録されない可能性があり、先に使用していれば先使用権を認められることができるが、それは消極的な保護に過ぎない」と述べ、「個人事業者など零細企業は事業計画を立てる段階から、予め商標を出願して登録を受けておくと、今後発生し得る商標紛争を防ぐことができる」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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