知的財産ニュース ソウル経済(2020年10月15日付、1面・3面)記事に関する説明資料

2020年10月16日
出所: 韓国特許庁

「日本の素材・部品・設備における『特許意地悪』、サムスン系列会社も訴えられ」、「『日本の特許意地悪』通商問題が絡み合って政府支援も容易ではない、韓国の素材・部品・設備は再び揺れるのか」、「大量訴訟への道が開き、K-ディスカバリーの逆風論争」に関し、内容の一部が事実と異なる部分があり、知らせします。[ソウル経済新聞、2020年10月15日付、1面・3面]

[報道内容]

1.日本企業が韓国の素材・部品・設備企業の競争力向上に危機感を感じ、韓国企業を相手に相次いで特許訴訟を起こしたため、特許紛争が増加した。
2.半導体業界では、K-ディスカバリーが導入されると、出願した特許が韓国より圧倒的に多い外国企業が制度を悪用すると懸念している。
3.現在の時点で、日本の東京エレクトロンが計8,700件、米国のアプライド・マテリアルズが5,600件、ラムリサーチが2,000件の特許を韓国に出願した。

[事実関係および特許庁の立場]

1.日本企業が韓国企業を訴える特許侵害訴訟が増えている傾向であると判断できる統計上の根拠はない。
・(韓国国内)素材・部品・設備分野において日本から韓国に起こした侵害訴訟は、2016年2件→2017年1件→2018年1件→2019年1件→2020年1件。
・(日本国内)日本から韓国企業に起こした、素材・部品・設備分野における侵害訴訟は無い。
・(主要国国内)日本が米・中・EUで起こした素材・部品・設備分野の侵害訴訟は、2016年1件→2017年1件→2018年1件→2019年0件→2020年2件
- 2020年に提起された侵害訴訟2件は、同じ当事者が同じ特許によるもので、米国とドイツで争っている一つの事件

[主要国における日韓侵害訴訟の現況] 主要国における日韓侵害訴訟の現況

異議申立は、特許紛争と直接関係のない競合他社との通常的なモニタリング活動であり、異議申立の増加を理由に特許紛争が増加したという主張は不適切である。

日本で、日本企業が韓国企業を相手に申し立てた素材・部品・設備分野における異議申立件数は例年と同様。

むしろ最近では、韓国国内で韓国企業が日本企業を牽制するための素材・部品・設備分野における異議申立が急増している傾向。

[主要国における日韓異議申立の現況] 主要国における日韓異議申立の現況

2.韓国国内の半導体分野で韓国人が登録した特許権が外国人より多く、K-ディスカバリーが導入されても外国企業が制度を悪用する可能性は低い。

1990年以前に韓国人による半導体分野の特許における韓国国内での登録特許シェアは約25%に過ぎず、現在は登録特許の60%を韓国人が占めている。

[半導体分野における主要国の現況(2020年8月基準)] 半導体分野における主要国の現況(2020年8月基準)

特許庁が導入を推進する韓国型の証拠収集制度は、一定の要件を満たしている場合において、裁判官が実施可否を決めるため、無差別的に訴訟が起こる可能性は低い。
‐(要件)「侵害の可能性」、「調査の必要性」、「相手方の負担程度」

3.記事で言及された外国半導体企業3社の過去37年間の累積出願件数(約1万6,000件)は、登録されていないか、または消滅された特許まで含む。

世界市場シェアの50.1%(※)を占める3大設備メーカーが保有している権利存続中の有効特許(※※)は、計5,500件。

※2017年の売上高基準、出所:ガートナー
※※登録後に存続期間の満了、無効、登録料不納などにより権利が消滅されていない有効な特許

4.特許庁は今後、財界、業種別の団体などと幅広く疎通しながら、韓国の実情に合った制度を設計し、中小企業への支援策を設ける計画である。

特許庁は法案を設けるため、2020年7〜8月に中小企業中央会、韓国ベンチャー企業協会など、11の主要経済団体、法曹界などから意見収集を実施。

※中小企業中央会、ベンチャー企業協会、中小企業技術革新協会(イノビズ: 技術革新型優秀中小企業)、大韓弁理士会などは、技術奪取予防に向けた制度の導入を積極的に賛成する立場

[特許庁1次意見収集状況] 特許庁1次意見収集状況

今後、半導体産業協会などを中心に、財界、業種別団体、法曹界、素材・部品・設備分野の企業などと幅広く疎通することで、問題点を最大限に補い、韓国企業の実情に合った制度を設計していく計画である。
-(財界)全国経済人連合会、中小企業中央会、大韓商工会議所、韓国中堅企業連合会、韓国経営者総協会、韓国ベンチャー企業協会、イノビズ協会など
-(業種別団体)半導体、電池、自動車、ロボット、機械、ディスプレイなど
-(法曹界)大韓弁護士協会、韓国知的財産弁護士協会、大韓弁理士会など

韓国企業が予期せぬ被害を受けないように「特許紛争対応センター」を新設(2020月11月)、②紛争モニタリング強化および紛争対応への戦略支援拡大(素材・部品・設備分野の企業を優先支援)、強力な特許の創出を支援(知的財産権と連携した特許開発戦略(IP R&D)の活性化、特許確保の支援)および中小企業向け特許教育の拡大など、総合的な支援策を関係部処と協力して確立していく計画である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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